大人になりたい ymin ページ24
ym side
ピアスにも慣れてきた頃。
そろそろ新しいの欲しいな、と雑誌を物色していると
『 ピアス、似合ってるよ 』と君が突然俺の耳に触れたんだ。
その時何かが溢れてしまって、
多分だけど涙よりも先に流れてしまった。
『 いのちゃんに、見て欲しかったから 』
普段絶対言わないようなことを言ってしまった。
だけど、仕方ないんだよ?
二人きりの楽屋、
君が俺に触れたこと、
全てが俺をおかしくさせた。
『 ふはっ…何だそれ 』
『 うん。おかしーね 』
だからきっと君も、おかしかった。
『 …へん、っ…だよっ 』
俺の胸の中で泣く君は綺麗で、必然的にあの日を思い出す。
ああ、また、君が誰かを想って流す涙を止められなかった。
少しの罪悪感と沢山の愛しさに胸は押しつぶされそうで、そっと涙を拭う。
泣かないで、なんて気の利いたこと1つ言えない俺はやっぱりまだ子供で
ああ、ピアス痛かったなって。
ああ、好きだなって。
気がつけば、二人で泣いていた。
一緒にいるのに一緒に涙を流しているのに、想っている人は違う事実に涙は止まらなかった。
ついにはいのちゃんより泣いてしまう俺を、君は笑いながら介抱してくれた。
慧「 …なつかしーね。あの、変な涙事件 」
「 ふふ。確かに 」
慧「 あの時さ、別れた彼女に言われたんだ。」
『 好きな奴がいるなら、そいつだけ見ておけばいいんだよ 』
慧「 …俺ね、重ねてたの。涼介と彼女を 」
最低でしょう?って笑う目は少しだけ悲しみに濡れている。
これじゃあアンフェアだなって少しだけあの時のことを話した。
まだまだガキだった、あの頃を。
「 …大人に、なりたかったんだよ。」
慧「 ほぁ?大人?」
「 慧に見て欲しくて 」
『 いのちゃんに見て欲しくて 』
あの日言った台詞は、あのときの俺の最大の愛の告白だった。
「 俺らってさ、すれ違ったね 」
ふふっと微笑う慧の耳に、
あの日を思い出しながらそっとキスをした。
「 もう、俺以外を想って泣かないで 」
少しだけ子供っぽい、お願いを囁いて。
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【 大人になりたい 】
fin.
『 溺愛 ymin 』
本編が気になった方は是非。
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こさこ(プロフ) - こんにちは(*´ー`*)すごく表現が綺麗なお話がいっぱいで夢中になって読みました◎とくに最後のゆといのちゃんのお話すっごく続きが気になります…!!(←ゆといの厨なので)素敵なお話をありがとうございました! (2018年1月8日 17時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2017年4月26日 16時