切なさ ページ8
ym side
胸を焦がすって、恋患いって、このことかと知らしめるように軋む。
今なら分かるんだ。
あの涙が恋から零れたものじゃないこと。
ただ、彼の中で溢れてしまった二人への愛。
隠れて愛し合っていた二人への憎しみ、悲しみ、憂み。
また、愛おしみ。
「 …やまだ？呼ばれてんよ？」
伊野尾ちゃんは、そんな人だった。
テキトーの癖して妙に聡く空気の読める常識人。
そして人より数倍、傷つきやすく繊細な面倒くさい人でもあった。
どうしたってそんな自分の心を押し殺す必要があるの？って聞いてしまおうかとも思った。
だけど、やっぱりそんなの野暮。
「 ……ちょっとー！聞いてる？」
とてもじゃないけど、好きな人の悲しい顔なんて見たくはない。
そんな趣味はないし、ここ数ヶ月疲れ切ってる彼はどうも数年前の俺と重なって見えて
見守るのさえ苦しかった。
「 …聞こえてますよ、へいへい 」
どうしたら笑ってくれる？
どうすれば癒せる？
どうなったら、こっちを向いてくれる？
「 なあ、大ちゃん 」
ねえ、伊野尾ちゃん。
「 その顔、ちょーだいよ 」
その辛さ、全部ちょーだい。
大貴「 は、はあっ？おまっ、疲れてんの？」
お願いだから、一人で泣かないで。
泣きたくなったら俺が笑わせてあげるから。
美味しいもんいっぱい食べて、好きなだけ寝て、もういらないってくらい愛をあげるから。
だから、さ？
「 …だから、っ 」
だから、俺のこと…見てよ。
「 俺のこと、好きに…なってよ 」
大貴「 …なっ、！」
ねえ、
「 いの、お…ちゃっ 」
お願いだから、薮ちゃんと光くんばっか見ないで。
そんな目で、そんな顔で、苦しまないで。
自分をわざと傷つけたりしないで。
「 …好きだよ、」
この時、俺はきっとどうにかしたかった。
別に大ちゃんが伊野尾ちゃんに見えたわけでも重ねたわけでもないんだ。
ただ、大ちゃんの口から伊野尾ちゃんへ伝わらないかなってい俺の浅はかで穢い心のエゴ。
気づけば、あの日の伊野尾ちゃんみたいに
涙を一筋零していた。
10年だよ、ねえ。
俺たちどこからすれ違ったっけ？
ねえ、俺じゃ、あなたの隣には立てませんか？
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ふるは(プロフ) - やまいのさん。好きなのでとても幸せです。 (2018年12月16日 10時) (
レス) id: df18d22876 (このIDを非表示/違反報告)
はっぱっぱ(プロフ) - やっと読めました・・・！暇になったので一気読みしました笑 やっぱりこのお話最高です、！山田くんと伊野尾くんの美しい画が浮かんできたくらいです・・・！これからも何度か読み返させて貰います♪ (2018年2月9日 16時) (レス) id: 296b5b94d2 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - こちらこそよろしくお願いします(＊´ｖ｀) (2018年1月25日 2時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - Kasumisou*さん» ご指摘ありがとうございます。後悔し忘れておりました、申し訳ありません。再度公開させていただきました。これからも至らない点ばかりだとは思いますが作品共々宜しくお願い致します。 (2018年1月24日 22時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - あの、愛しいから契りに変わる時の話って、飛んだりしてますか?違和感を感じたのでお伝えしようと思いました。私の勘違いなら、気にしなくて大丈夫です！これからもお話楽しみにしています。 (2018年1月24日 21時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神楽
| 作成日時：2017年3月18日 15時
