捧げる ページ25
ym side
重たい玄関を開ける。
本当はこういうの、事務所にアポ取らなきゃいけないけど今はそんなの考えてる暇はないから。
『 出てきたぞ!』
叫ばれた鶴の一声にプライバシーなんて関係なく切られるシャッターと問われる質問。
『 山田さん!話題の女優Aと伊野尾さんと二股なんですか?!』
『 お二人はいつ頃からお付き合いをされていたんですか 』
『 伊野尾さんは芸能界でもそのビジュアルは一目置かれていましたが、元々同性愛者だったんですか 』
『 山田さんのフライデーについてどう思われましたか!』
フラッシュで目が眩む。
慧の手を手探りで探し、指と指が触れ合うとお互い自然に強く繋ぎあった。
それと同時に多くなるシャッター音とフラッシュ。
予想はしていた。
だけど現実にそうなると、どうも口が上手く動かない。
一応、これまでノースキャンダルだった俺はこういうことに慣れていない。
隣で真っ直ぐ記者を見つめてる慧を盗み見ると、その瞳からは決心さえ伺えた。
…何を、言うつもりなんだろう。
慧「 …俺は自分の顔が嫌いです。昔から女顔だとバカにされ続けてきたから。」
いつもの飄々とした口振りでなく、泣きそうに震えた、それでいて強い意志の見える言葉。
1つ1つが一生懸命選んだものだと、慧の顔を見ればすぐ分かる。
俺は慧を愛しく見つめた。
大丈夫って、声をかけられない代わりに
心の底から祈るように見つめたんだ。
慧「 だけど、涼介が好きだと言ってくれてから前より自信を持てました。…あと俺は同性愛者ではなく、隣にいる山田涼介が好きなだけです。」
『 山田さんの熱愛報道については!?』
また誰かが叫ぶ。
…さっきより、穏やかになった声と目で慧は続けた。
慧「 信じるだけです。…愛は疑うものではなく、信じるものだから。」
自論ですけど、と足してふわっと微笑ったその横顔は俺には勿体無いほど綺麗でまた、俺にも決意が湧いた。
繋いでいた手をぎゅっと握りしめ腰に手を回しぐいっと引っ張る。
慧と記者の驚いた顔と、沈黙。
「 …俺が愛しているのは、伊野尾慧だけです。」
…きっと、明日の朝刊はこんな吹き出しで始まるんだろうって無意識に笑みが零れた。
【 山田涼介 記者等の前で堂々愛のキス 】
違う君を知ってくたびに、どんどん、好きになってく気持ちは止められないね。
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ふるは(プロフ) - やまいのさん。好きなのでとても幸せです。 (2018年12月16日 10時) (レス) id: df18d22876 (このIDを非表示/違反報告)
はっぱっぱ(プロフ) - やっと読めました・・・!暇になったので一気読みしました笑 やっぱりこのお話最高です、!山田くんと伊野尾くんの美しい画が浮かんできたくらいです・・・!これからも何度か読み返させて貰います♪ (2018年2月9日 16時) (レス) id: 296b5b94d2 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - こちらこそよろしくお願いします(*´v`) (2018年1月25日 2時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - Kasumisou*さん» ご指摘ありがとうございます。後悔し忘れておりました、申し訳ありません。再度公開させていただきました。これからも至らない点ばかりだとは思いますが作品共々宜しくお願い致します。 (2018年1月24日 22時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - あの、愛しいから契りに変わる時の話って、飛んだりしてますか?違和感を感じたのでお伝えしようと思いました。私の勘違いなら、気にしなくて大丈夫です!これからもお話楽しみにしています。 (2018年1月24日 21時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2017年3月18日 15時