甘み ページ3
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「 あ、いのちゃん!」
ちょっと小さめに出した声に気付いた、
その華奢な背中がくるりと俺の方へ向いた。
マスクしてるのに分かる、
そのとびっきり可愛い笑顔には焦るんだ。
慧「 ごめん大ちゃん、待った?」
「 全然!ほら、メニュー 」
俺の笑顔に安心したのか、眉を下げて笑ういのちゃんは目線をメニュー表へ移した。
影のできた長い睫毛。
病的に白い肌。
落っこちちゃいそうに大きな目。
いつの間に、そんなに綺麗になったの?
言いかけて飲み込んだ言葉。
…また、俺の心に下書きが溜まる。
慧「 カフェオレ、ミルク増しで 」
店員さんを捕まえて
パッパッと注文を済ませたいのちゃんは、
また…視線を俺に合わせた。
慧「 それで? 知念となんかあったの?」
「 ぶっ、」
慧「 ちょ、汚い!」
いのちゃん、何で俺と知念のこと知ってるの?と言う前に吹き出した。
あーやっちまった…と思った頃には遅く、
苦笑いしながらおしぼりを貰う。
幸い、口の中にほぼ収まってたからそんな汚くはならなかった。
慧「 んで?喧嘩でもしたの?」
いや、そーじゃなくって。
いのちゃん何で知ってんのよ。
慧「 …気づかない方が可笑しいでしょ 」
「 え?」
慧「 いや、何で?って顔してたから」
「 …エスパーかよ 」
慧「 エスパー伊野尾?」
「 こんな時にテキトー発揮しないで 」
慧「 ごめんごめん 」
ケラケラ笑いながら言ういのちゃんには
何でもお見通しってとこ?
敵わないなぁ、と嬉しく思いつつも
俺はどうだろう?って首をひねる。
いのちゃんは俺にとって大好きな
唯一無二の存在だけど
俺は、いのちゃんにとって
そんな存在でいられてるかな。
慧「 大ちゃん?」
昔からそうだ。
自分の中で絶対に誰かが一番にいるのに、
自分はなれなくて
この世界に入って変わったアレコレにも
やっとの思い出ついていけていて
…沢山の人に出会って別れて、今がある。
そうして巡り会えた奇跡のような9人。
最愛の人に出会えた。
だけど俺は貰ってばかりで
望むものをあげられてないんじゃないかって。
「 …いのちゃん、どーしよう俺…… 」
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ふるは(プロフ) - やまいのさん。好きなのでとても幸せです。 (2018年12月16日 10時) (レス) id: df18d22876 (このIDを非表示/違反報告)
はっぱっぱ(プロフ) - やっと読めました・・・!暇になったので一気読みしました笑 やっぱりこのお話最高です、!山田くんと伊野尾くんの美しい画が浮かんできたくらいです・・・!これからも何度か読み返させて貰います♪ (2018年2月9日 16時) (レス) id: 296b5b94d2 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - こちらこそよろしくお願いします(*´v`) (2018年1月25日 2時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - Kasumisou*さん» ご指摘ありがとうございます。後悔し忘れておりました、申し訳ありません。再度公開させていただきました。これからも至らない点ばかりだとは思いますが作品共々宜しくお願い致します。 (2018年1月24日 22時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - あの、愛しいから契りに変わる時の話って、飛んだりしてますか?違和感を感じたのでお伝えしようと思いました。私の勘違いなら、気にしなくて大丈夫です!これからもお話楽しみにしています。 (2018年1月24日 21時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2017年3月18日 15時