愛しい ページ14
in side
「 うっま!やべえな、ここ!」
頬っぺた落ちそうなくらい美味しい煮魚と白米に今のところ箸は止まりそうにない。
涼介「 へへ、よかったあ。」
「 …もう食わねえの?」
こんなに美味しいのに勿体無い。
山田を見つめると、その大きな瞳をくしゃっと細めた。
涼介「 あの、さ…伊野尾ちゃん 」
「 ふぁ?」
白飯を緑茶で流し込む。
…あー、幸せ。
涼介「 …変なこと言ってもいい?」
「 何だよ〜変なのはいつものことでしょ?」
涼介「 …ふふ。そうだね?」
綺麗に笑う顔に、さっきまで煮魚と白米で埋まってた思考と心は山田で埋め尽くされ
まだドキドキしだした。
そして、この際だからもう言ってしまおうと
なぜか思い立った。ほんと、不意に。
「 …俺も変なこと言っていい?」
涼介「 じゃあ、伊野尾ちゃんからどうぞ 」
レディーファーストと言わんばかりに俺を優先して頬杖を付き見つめられる。
…俺を目で殺したいのか、何なのか。
甘ったるいそんな顔されても俺は困る。
「 あの、さ?」
山田は俺の気持ちを聞いて、どんな顔をするだろうか。切り出したのは俺なのに。怖くなってきた。
だけど、10年前にした自分との約束を果たせないと俺はきっと一生後悔する。
「 好き、です 」
……簡単だった。
押し殺していた想いは、蓋を開けてしまえばあとは溢れ返るだけ。
目の前が一気に揺らぎ霞む。
「 ずっと…ずっと、好き。俺にはずっと山田だけだった 」
10年間、たくさんの人を見てきた。
それなりに女の子と遊んだし、それなりに伊野尾慧として歩いてきたつもり。
そしてそれ以上に何歩も前を歩き続ける、山田を愛おしく想ってきた。
変わることを恐れて変わらないよりも、変わらない毎日の方がずっと怖い。
いつかの山田が言っていた言葉に酷く胸を打たれたり、冗談でも俺にひざまずいて手を差し伸べてくれたり…
早くノーマルに戻りたかった俺のことなんてつゆ知らず
歩くフェロモンか、と突っ込みたくなる優美さのある男だった。
今はそれに拍車がかかり、異性だけでなく同性からも好かれる存在だ。
それはメンバーとして誇りに思うし嬉しい。
ただ、想い人となるとすこぶる面白くない。
それでいつも、勘弁してほしいくらい知らしめられる。
あぁ、山田が好きだって。
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ふるは(プロフ) - やまいのさん。好きなのでとても幸せです。 (2018年12月16日 10時) (レス) id: df18d22876 (このIDを非表示/違反報告)
はっぱっぱ(プロフ) - やっと読めました・・・!暇になったので一気読みしました笑 やっぱりこのお話最高です、!山田くんと伊野尾くんの美しい画が浮かんできたくらいです・・・!これからも何度か読み返させて貰います♪ (2018年2月9日 16時) (レス) id: 296b5b94d2 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - こちらこそよろしくお願いします(*´v`) (2018年1月25日 2時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - Kasumisou*さん» ご指摘ありがとうございます。後悔し忘れておりました、申し訳ありません。再度公開させていただきました。これからも至らない点ばかりだとは思いますが作品共々宜しくお願い致します。 (2018年1月24日 22時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - あの、愛しいから契りに変わる時の話って、飛んだりしてますか?違和感を感じたのでお伝えしようと思いました。私の勘違いなら、気にしなくて大丈夫です!これからもお話楽しみにしています。 (2018年1月24日 21時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2017年3月18日 15時