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Aの目の前で、元女優で現スターズ社長の星アリサが、自分の母と話し込んでいる。自分は蚊帳の外だ。それは、Aの隣に立っている
チラチラとAのことを見てくる、この
母と星アリサが、昔から仲が良かったので、彼も昔から知っている。昔から知っているとは言っているが、仲が良い、とは言っていない。
「えっと、ス……」
「Aで。苗字は、……あんまり好きじゃないから」
アキラが、自分の苗字で呼ぼうとしたのを、Aは遮る。それにアキラは、すまない、と謝った。そのまま、お互いにお互いの両親を見つめながら、顔を合わせずに、話始める。
「A、最近どうだ?」
「別に……。普通だと思う」
「そうか」
そこで会話が途切れる。もう一度言うが、昔から知っているとはいえ、仲が良いと言うわけではない。
ふと、Aが、あ、と声を出す。そこで初めて、彼女はアキラのことを見た。アキラもAの方を見て、2人は自然に見つめ合う形になる。
Aの緑かかった目が、アキラを写す。
「そう言えば、見たよ。え、と……なんだっけ。ヒーロー物の」
え、とアキラの口から声が漏れ出る。
「あ、"ウルトラ仮面"? あ、見てくれたんだ」
コクリ、とAはうなずく。
「星君、確か運動、得意じゃなかったよね? でも、ウルトラ仮面のあの動き」
すごいなぁって思った。Aはまっすぐアキラを見ながら言う。努力家なんだね、とも。
終わり←・
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作者名:もののふけ | 作成日時:2020年8月2日 10時