『相思相愛』下 ページ15
『見て!パンダ。』
「いや僕らの勤務先にもいるよね?」
なんだろう。このシュールな感情は。
「A、行こ…っ。」
いや絶対悟も笑ってる。"その心笑ってるね"だよ。
『鳥みよ?』
「本当、鳥好きだよねぇ。」
僕は悟の手を引き、鳥類エリアへと足を速めた。
_____
『あのフクロウ、白いよ!悟みたい。』
「え、認識白さ?」
『あっこっちのワシ、ちょっと恵くんっぽい』
「ブフォ」
__
『虎!ゴリラ!迫力があるね。』
「僕の方が強いけど」
『戦わないで』
__
『悟はフクロウよりシロクマだね。』
「え、なんで?」
『大きいし、白い。』
「僕の認識それなの?」
__
『悟!悟はやく!』
「急ぎすぎ。どっか行ったりしないよ。」
『1分1秒でもみたいじゃん!』
__
『悟、悟。あの鳥生きてるの?』
「あぁ、ハシビロコウだよ。」
「ハシビロコウ…。」
___
『悟!』
「次はどうしたの」
『好き』
池の橋でボソッと呟いた。
「A?」
『何か言いたかっただけ………僕さ、動物園来るの初めてなんだ。』
そう。選んだ理由のもう1つは行ったことがなかったから。
『家族との思い出なんてないし、勿論友達なんて出来たことがなかった。僕の居場所はあの場所になくってずっと図書館や美術館に篭もりっぱなしだった。』
「…」
橋の中央で話す事じゃ無い事ぐらい分かってるけど、なんか話したくなった。
『図書館は無料で入れるし、美術館は親が置いていった封筒から金を抜き出して見に行った。たまに無料の時もあったけど。』
「だからAは物知りだったんだね。」
『フフッ…ありがと。けど動物園だけは行けなかったし行かなかった。』
「それはまたなんで?」
水面に反射して見える僕の顔。
『…なんでだろう。何故か行けなかった。』
「そっか。」
悟は僕の隣に来て、遠くを見る。
絵になる恋人。何時でも惚れ直してしまう。
見ていた事に気づいたのかこっちに振り向き微笑む悟。
顔が近づき、キスをされる。
でもそれが嬉しくて受け入れる。
「でもAの初めて貰って嬉しいかも」
『そうだね。初めてを悟にあげてなかったかも。』
「それ、彼氏に言うことなの?」
『悟だから言った。』
「ある意味傷ツク」
『嘘を付きたくないから。だから本音を言う。』
「やっぱり好きだわ。」
悟にあげた初が動物園だなんて……可愛いかも。
初が全て偉いわけじゃない。これからが大切なんだよね。
『悟』
「なに?」
『離れないでね』
「当たり前」
悟の手はとても温かかった。
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きょーや(プロフ) - 洸さん» こんばんは!リクエストありがとうございます!続編の「比翼連理な毎日」の「求漿得酒」をタイトルに書かせていただきました。洸様のリクエストにお応え出来ましたら幸いです。 (2022年5月3日 23時) (レス) id: 63ac262d52 (このIDを非表示/違反報告)
洸 - あの、リクエストしてよろしいでしょうか。酔っ払った夢主と五条さんの話が見たいです。気乗りしなければ見なかったことにしてください。 (2022年4月23日 19時) (レス) @page41 id: 2f1dccb094 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょーや | 作成日時:2021年9月17日 1時