素直な気持ち��夏油傑視点 ページ3
「うわぁぁん…！！」
「『！？』」
そんな泣き声が聞こえた瞬間、
すとんっと身体から力が抜けた。
張り詰めた空気は、
風船に穴が空いたように消える。
目の前にいるAは、
もう私ことを見ていない。
『美々子、菜々子…！』
「…ぁ」
そう呟くと私の手をパッと払って、
バタバタと部屋から出ていく。
私は振り払われた手を見てから、
開きっぱなしのドアをただ見つめた。
「………A」
先程まで腕の中にあった温かいぬくもりはない。
がらんとした部屋。
一人きり。
彼は、私のことを気にもとめず、
まっさきに泣き声の方へと行ってしまった。
もしかして、嫌いになったのだろうか。
嫌で、嫌で、部屋から飛び出したのだろうか。
彼の中の、私の、価値は、
あの子たちより低いのだろうか。
なんとも思わないのだろうか。
「嫌だ…」
ぽつりと呟いた言葉。
払われた手は先から冷たく、
私はそれを抱きしめるように片方の手で温めると、
身体を丸めた。
「嫌だ、嫌だ…それは、いやだ」
離れていってしまう。
私を置いていってしまう。
今まで彼のような人はいなかったのに。
私のもつ術式に嫌な目一つ向けず、
逆に気遣ってくれたAのような人は、
いなかったんだ。
それなのに、それなのに！
こんな形で失うなんて！
そんなの、ダメに決まってる。
自分の自制心の無さを恥ずかしいと思う。
獣のようにAを求め、
嫌がるのを無視して私欲を満たしたことを。
戻れるなら戻りたい。
あの自分を殴りたい。
それぐらい、今は後悔でいっぱいだった。
「…A、A」
失いたくないんだよ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1301人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユキノシタ(プロフ) - 卒業おめでとうございます！ (2021年3月7日 15時) (
レス) id: 975ff33ffa (このIDを非表示/違反報告)
ユキノシタ(プロフ) - ルカさん» その為高専生には卒業後呪術師になるまで一年猶予が与えられる"との旨がこれまたサラッと書かれています。(長文ごめんなさい) (2021年3月2日 18時) (レス) id: 975ff33ffa (このIDを非表示/違反報告)
ユキノシタ(プロフ) - ルカさん» 東堂が来た時に伏黒君と野薔薇ちゃんがサラッと言ったので忘れちゃったのかもしれませんね…！因みにpixiv辞典には"元々五年制だったが最後の一年は任意だったので四年制になった。 (2021年3月2日 18時) (レス) id: 975ff33ffa (このIDを非表示/違反報告)
ピッピッピ(プロフ) - ッピ増やしました元ピッピです。高専って四年制だったのかぁ (2021年3月2日 17時) (レス) id: ae135d7734 (このIDを非表示/違反報告)
たわし - 今思うと伊地知のbl少ないよね (2021年3月2日 6時) (レス) id: 9c3bc33af0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かるーあ | 作成日時：2021年1月17日 11時
