43話 ページ44
手紙の中にはAがいた
確かに存在していた
でも、読み終わった後、そこに広がっていたのは現実だった
彼女のいなくなった、世界だった
手紙の最後の方は涙で滲んでいた
彼女らしい、手紙だった
話題がころころ変わって、話している言葉をそのまま文章にしたような手紙で、まるで彼女と自分が話しているかのように錯覚をした
kn「…は」
苦しい、辛い、悲しい
今まで我慢していた感情がぐちゃぐちゃになって溢れ出す
彼女のいない世界がこんなにも生きづらい世界だなんて思わなかった
kn「……っ」
駄目だ
俺は彼女のわがままに答えられそうにない
こんな約束守るわけにはいかなかった
だって、こんなにも想ってくれて、俺にたくさんのものを与えてくれた彼女のために、涙を流せないなんて、嫌だった
kn「…ごめんな……っ」
涙がとめどなく溢れる
kn「あぁ…っ」
kn「…Aは…本当に自分勝手やな…」
勝手に1人でいなくなって言いたいことだけ言っていくなんて
俺が泣いているのを咎める人は、もうこの世にはいなかった
kn「俺やって、Aのこと…」
押し殺すように、彼女には聞かれないように、Aを想って泣いた
産まれてから一番泣いた
俺はAに出会えてよかった
Aといられて幸せだった
彼女が笑顔をくれたおかげで、きっと生きてた中で一番笑った
全部、Aのおかげだ
だから、笑う
彼女を想って笑う
彼女のように、大袈裟に
俺は笑えてるんやろうか
彼女には到底敵わない、ぎこちなくて下手くそな笑みを浮かべる
Aみたいに笑うにはまだまだ時間がかかりそうだ
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いねむり - 読み終わった第一声、「神やん」でした。小説自体に泣くことはあんまりない(かもしれない)ので枕びしょ濡れになることは久しぶりでした。本当に感動する作品ありがとうございます。 長文失礼しました！ (12月26日 2時) (
レス) @page48 id: 64b21c98aa (このIDを非表示/違反報告)
あ - オリフラたってますよ (10月21日 7時) (レス) @page1 id: 6ab682965f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にに | 作成日時：2023年9月3日 22時
