彼らはいつもすれ違う。 (ページ10)

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「…昨日、慎太郎の機嫌めっちゃ悪かったよな」

とりあえずメンバーの話で間を持たせようと決め、何故か機嫌の悪かった慎太郎の話を振ってみる。

「話しかけたのに3人連続無視されたらしいよ」

「あー、それでか」

「うん」

会話終了。

大人しく黙っていようと思ったら、北斗がおもむろに口を開いた。

「…撮影、京本はどう？俺はショップ用のは一昨日撮り終えたけど、変なコンセプトの写真が多かった」

「ショップのは明日。あれ結構不思議な注文多いよな…ファンの人達あれでいいのかな」

「まぁ、どんな京本でも見れるだけで嬉しいと思うよ」

割と自然に会話できていたが、なぜか北斗の言葉に妙に気恥ずかしくなってしまい、口ごもってしまう。

「う、えっと、ありがとう」

「ふっ…褒めてないけど」

目線は合わないが、それでも少しだけ笑う北斗になぜか嬉しいような、切ないようなそんな気持ちになった。

そして一つ、俺の中にある言葉が浮かび上がる。

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嬉しいのに切ない…これって、まさか恋…？

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いやいやいや、いくらなんでもそりゃねえわ。周りにいじられたり考えすぎてそうなっただけ。

…そうだよ、ね？

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