彼らはいつもすれ違う。 (ページ6)

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京本大我side

…よし。やったぞ。

本日最大のミッションをクリアした。

もちろんミッションの内容は「北斗にお土産を渡す」である。

そのためにいつもなら邪魔しに行くTravisJapanの楽屋にも、高地に誘われたコンビニにも行かなかった。

クソダサい転び方はしたものの、あれが話すきっかけになったと考えれば少しはマシだ。

というか、この前渡したホットソースは使ってくれているのだろうか。

捨てられていたりしたら俺は立ち直れないかもしれない…が、北斗はそういうことはしない。

アイツはむしろ喜んでいるはずだ。割と単純だし。

俺は何でもないようなフリをしながら、心を落ち着かせるために取り敢えず北斗から離れて背中を向ける。

すると後ろから短い深呼吸の音がした次の瞬間＿＿

「あの、さ。この前貰ったソースも結構、使ってるから。うまいし…」

北斗が俺に感想を言った。

メンバーや、他の人間がいるところではなく、二人しかいないこの空間で。

「…それは、なにより、です」

こう言うとこで気の利いたことが言えれば北斗との距離も縮まるのだろうが、俺には無理だ。

もう一言くらいなにか言おう、と思ったところで楽屋の扉が開く。

「ただいまー…って二人ともなんで立ってんの？」

コンビニから戻った高地は、背中合わせで立ちすくむ俺たちにハテナを浮かべる。

「いや…」

「別に…」

別に話していたことを隠す必要はないのに何もない風を装ってしまうのは何故だろう。

「ふーん。まぁいいけど。大我、これ」

高地に頼んでいたミントタブレットを投げ渡される。俺は見事キャッチし、軽くお礼を言った。

高地も来たし、今度は俺から…！

「北斗！調味料シリーズ、次も楽しみにしとけよ」

吐き捨てるように言って、俺はまたゲームに戻る。

北斗の顔を盗み見れば、手で隠しているため顔は見えないが、耳が赤く染まっていた。

…かわいいやつ。

「…え、何なのお前ら。実は仲良いの？」

「高地うるさい。ゲームしてんだから黙って」

「高地、おやすみ」

「やっぱ仲良いだろお前ら！」

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