彼らはいつもすれ違う。 (ページ3)

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松村北斗side:

メンバーよりも一足早くヘアメイクと衣装チェックを終えた俺は、スマホを取りに控室へと戻った。

仕事用の大きめのバッグの中からスマホを探すも、中々見つからない。

充電器のコードとイヤホンが絡まってジャングル状態になっていることが問題なのはわかっている。

若干イライラしながらも適当な鼻歌を歌いながらバッグを漁る。

横を見ると樹と京本の荷物が混ざり合い、どちらがどちらの物なのかわからない状態になっていた。

…どうして樹の帽子が京本のパーカーの上に置いてあって、京本のマスクが樹のリュックの上に置いてあるのか。

そこでふと、昔のことを思い出す。

一番京本との仲が最悪だった時期。というか、俺が京本とキャラが被っていると思って敵視していた時期、のほうが正しいか。

京本は見た目は繊細だが、実際にはガサツだし、喧嘩もする割と男っぽい性格だ。

当時は俺が喧嘩を売って京本が買う、というのが日常茶飯事だった。それが続くと、お互い話すと喧嘩になると気づき、なるべく話さないように距離を置くようになった。

関係はそこそこ改善されたとはいえ、今の京本は、俺が近づくと無意識に体が避けている。

それは俺が嫌いだとかそういうことではなく、ただ単純に距離感を測りかねているのだろう。

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