20cm【TH】 ページ8
✧
「テヒョナって今身長いくつになったの？」
床に座る僕のつむじを後ろからツンツンといじるAは、突拍子もなくそう問うた。
ふたつ歳上のAとは、家が隣同士の幼馴染み。
幼い頃から一緒に遊んでくれていて、たくさん面倒を見てくれていた。
きっとその頃から、僕は彼女の事が好きだったんだと思う。
そうして隣にいるのが当たり前だった僕達だけど、僕が高校生になった時、彼女は県外の大学に進学することが決まり、実家を出たことにより離れ離れになった。
連絡こそ取り合っていたものの、お互い部活や勉強で忙しくなって会うことはなかなか無くて。
ぽっかりと穴が空いたような、そんな気分だった。
それから何年か経って僕も大学に進学し、代わり映えのない日々を送っていたある日のこと。
｢テヒョナ！ただいま！｣
地元に就職したというAが帰ってきた。
久しぶりに見た彼女は、僕の記憶よりもずっと綺麗になっていて。
より一層好きになるのは、必然だったと思う。
そんな彼女は、見た目さえ磨きがかかったけど中身の面倒見のいいお人好しなところは全く変わっておらず、前と変わらず僕に接してくる。
いまだって、昔のように呑気に僕の部屋のベッドに寝転がっている。
...本当に。僕の気も知らないで、この人は。
｢確か、春に測った時は177cmくらいだったと思う｣
｢え！見ない間に大きくなったな〜って思ってたらそんなに伸びてたんだ〜！｣
｢ヌナこそ縮んだ？｣
｢うわ！失礼〜！高校で止まっちゃったの！
177cmかあ〜！私と20cmも差があるってことは、見えてる景色とかも全然違うんだろうな〜｣
僕の頭を撫でながら感心する彼女に、思わず笑みがこぼれる。振り返ると、楽しげに微笑む彼女の顔が見えた。
されるがままも、性にあわないな。
｢...じゃあ、体験してみる？｣
｢え？ どういう... きゃっ！？｣
立ち上がって、ベッドの上の彼女を抱き上げる。
僕の突然の行動に驚いたのか、Aはとっさに僕の首にしがみついた。途端、ふわりと香水の香りが鼻をくすぐる。
｢ちょっと！重いでしょ！？降ろして〜！｣
｢思ったより重くないよ。鍛えてるし。｣
｢そこは冗談でも『羽のように軽いよ♡』って言うとこでしょーが！｣
｢はいはい、羽のように軽いよ｣
｢適当すぎ！｣
驚いて足をばたばたとさせながら、昔のように笑うA。
僕のよく知る懐かしい表情に、思わず頬が緩んだ。
✧
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るちる(プロフ) - ガフィさん» ガフィさんありがとうございます！そう言って頂けて本当に嬉しいです...！これからも頑張って更新しますので、よろしくお願いいたします☺︎︎︎︎ (7月19日 12時) (
レス) id: ed32ac0ac7 (このIDを非表示/違反報告)
ガフィ - めっちゃこの小説好きです！！大好きです！更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (7月17日 18時) (レス) @page5 id: ae97ca80d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るちる | 作成日時：2023年7月11日 1時
