煉獄杏寿郎の歪んだ愛

愛24 ページ24

杏寿郎から外出の許可が出て、久しぶりに街に出た。


ふらふらと色んなものを見て回る。


ああ、あの髪紐杏寿郎に似合うな。


千寿郎に甘味でも買ってあげようかな。


そんな事を考えていた時腕を掴まれた。



振り返れば前に会った変な額当てをした人がいた。


確か名前は、


『…宇髄さん？』


宇「…お前この傷どうした。」




腕を掴む大きな手に力が入る。


そのままずるずると引き摺られ人気のない所に連れてこられた。


宇「お前その傷どうした。」



もう一度聞かれ、何故か出てきた言葉を淡々と言った。



『杏寿郎は何も悪くない。これが彼の愛の形だから。
私も彼を愛してるからあなたには関係ない。』



そう言った時、宇髄さんが手を上にあげた。



あ、殴られる。



そう思うのに、体が動かなかった。



宇髄さんは手を上にあげた後、ゆっくりと降ろすと静かにため息をついた。



宇「お前、洗脳されてる。」


『え？』


宇「普通、暴力を振るわれただけなら手をあげたたら何かしら反応する。なのにお前は反応しなかった。
そうなるように何かされてる。」



意味が分からない。



私が洗脳されてる？



いつ？


どうやって？



宇「煉獄に殴られた後、手当てとかされなかったか？」


『…されました。』


宇「その時や前に何か言われたか？」


『えっと……。』



何を言われたっけ。



殴られて。


首を絞められて。


確か、その時に



『…”Aには俺しかいない。ここがお前の居場所なんだ。逃げる事は許さない。”』



自然に出てきた言葉を言う。


それを聞いた宇髄さんはため息をついた。

…この人ため息多いなぁ。



宇「おそらく煉獄の洗脳の仕方は、暴力とかで極限まで恐怖を与える。そうすると完全に上下関係ができる。
恐怖を与えられた方は無力感になったりして洗脳しやすくなるんだ。
その時、恐怖状態から欲しがっている安心を与え従うことが善と学習させ洗脳するんだ。」



お前で言うと手当てが安心だな、と言われる。


宇「いつ家から出られるんだ？」


『え？』


宇「どうせ地味に行動を制限されてんだろ？」


図星だ。


『えと、来週の今日。』


宇「分かった。また迎えに行くからあそこら辺ふらふらしてろ。」



そう言って私に背を向け、思い出したように言う。



宇「地味に煉獄にバレるなよ。」



そう言うと宇髄さんはいなくなった。




少し視野が広がり、希望が見えた気がした。

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