セクゾ兄弟はお医者さん３

心疾患 ページ7

マリウスside



北山「自発呼吸も落ち着いてきたし、抜管しようか」

健人兄ちゃんがICUに入って6日
回診に来てくれた北山先生の言葉に、その場にたまたま居合わせたボクと風磨兄ちゃんは顔を見合わせて喜び合った

少しずつだけど着実に、良い方向に向かってるんだ




マ「ねぇ健人兄ちゃん聞いてよ！今日ボクお休みだったから風磨兄ちゃんにクッキー焼いてあげたらね、硬いって文句言われたの！」

風「いや、硬いって感想を述べただけで残さず食ったじゃん俺」

マ「嫌々食べたみたいな言い方やめてよ！」

風「あーはいはい、ごめんごめん美味かったよ」

マ「ほら！すぐそういうテキトーな言い方する！」

風「兄貴だって食ったらぜってー硬いって言うって」

マ「健人兄ちゃんは言わないもん！ねぇ？！」

健「………」

当然まだ健人兄ちゃんからの返事は帰ってこないけど
振り返った時、人工呼吸器が取れて顔が見えるだけでこんなに嬉しいんだって、改めて実感した



マ「健人兄ちゃんと聡兄ちゃんは絶対、美味しいとか見た目可愛いねって褒めてくれるもん」

風「……まぁ確かに、兄貴は昔からそうだな」

マ「うん」


健人兄ちゃんの手を握りながら回想する
ボクが小学生の時、初めてバレンタインにお兄ちゃん達に渡すクッキーを作ったこと

中にジャムをサンドした思い出のクッキー
一つ一つ綺麗にラッピングもして渡したら、健人兄ちゃんは"マリが作ったの？！すげーじゃん！……うん！めちゃくちゃ美味いよ！お前天才だな！"って言って、ギューって抱きしめてくれたっけ


風磨兄ちゃんと勝利兄ちゃんはわざとボクに意地悪して硬いとか割れてたとか言ってくる事もあったけど
健人兄ちゃんと聡兄ちゃんはマリウスすごいねって、美味しいねって毎年褒めてくれたよね

そんな昔から優しくてあったかい健人兄ちゃんがボクは大好きだから……だから絶対、ボクたちのところに元気で帰ってきてね？



健「………」

そんな祈るような気持ちを込めながら
ボクは未だ冷えきったままの健人兄ちゃんの指先を、ギュッと優しく力を込めて握りしめる












勝『健人兄ちゃんの意識が戻った……！！！』




そしてPHS越しにそんな吉報を受け取ったのは

それから2日後のことだった

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