傷害事件 ページ40
勝利side
わざわざお見舞いに来てくれるなんて思わなくて
ノック音と共にあの女の子が部屋に入って来た時は本当にびっくりした
だけど更にびっくりしたのは、少女が俺の姿を見た途端目を真っ赤にしてわんわん泣き出したこと
何度も舌足らずにごめんなさいと言われる度、俺の胸はギュッと締め付けられた
風「おぉどうした、どうした」
健「ちょっとびっくりしちゃったかな？」
側で見ていた兄ちゃん達も突然のことにびっくりしたようで、オロオロしながら女の子の目線の高さにしゃがんで頭を撫でたり手を握ったりして必死に宥めようとしている
俺も動揺しながらも
女の子に向けて手を伸ばしてみた
勝「………怖かったよね、ごめんね？」
女の子「お兄ちゃん……」
勝「……おいで？」
すると女の子は覚束ない足取りでこちらに駆け寄って来て、差し出した俺の右手を、両手でぎゅっと握った
女の子「みうが、おそといかなかったら…ｸﾞｽｯ…お兄ちゃん…っ…お怪我…しなかったの…！ごめんなさい…ｯ…ごめんなさい…ぅぅう」
そう言いながら目を真っ赤にして謝る女の子
守りたくて咄嗟に動いたけれど、同時に不安な思いにもさせてしまったことに思い至って胸が苦しくなる
勝「……みうちゃん、怖い思いさせてごめんね？」
すると女の子はふるふると首を振る
勝「お兄ちゃんももっと考えて動けたら良かったんだけど……いつも頑張って病気と闘ってる君を、元気な姿でお母さんに会わせてあげたいって思ったら…お兄ちゃん身体が勝手に動いちゃったんだ」
女の子「……っ」
勝「だから謝らないで？
お兄ちゃんは君が無事でいてくれたことが一番嬉しい」
女の子「……っ、おにいちゃああん…！」
優しく頭を撫でると、女の子は俺にしがみつくようにしながらまたわんわんと声を上げて泣き出す
その後ろには同じく声を漏らして啜り泣いている女の子の母親らしき女性の姿と
優しい眼差しで俺達を見守る兄弟の姿があった
風「とは言っても今回は無事だったからいいものの、マジでもうあんな無茶すんなよな」
健「本当に！約束しろよ勝利！」
勝「ごめんなさい…」
親子が出て行った後に待ち受けていたのは
案の定の説教タイム
だけど最終的には俺の医師としての尊厳を理解してくれる兄弟達は、やっぱり優しかった
みんながこうして無事で
泣いたり笑ったり出来る日常が続く幸せに
俺は改めて感謝するのだった
END
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紫苑(プロフ) - 雨さん» そのように言って頂けてとても励みになります！ありがとうございます！これからも読んでいただけるよう更新頑張ります😊 (2022年2月18日 23時) (
レス) id: 5a1aac4853 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - いつも見てます！紫苑さんのペースで頑張ってください！お話大好きです！ (2022年2月17日 0時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 雨さん» 雨さんリクエストありがとうございます。なるべく早く更新できるよう善処しますので、暫くお待ちいただけますと幸いです😊 (2022年2月16日 23時) (レス) id: 06fd90b932 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 健人くんの胃潰瘍のお話がみたいです (2022年2月16日 8時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - 中途半端でもいいのでお願いします (2022年2月13日 0時) (レス) id: 5e65e2d11c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑 | 作成日時：2022年1月30日 0時
