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傷害事件 ページ38

健人side



聡「じゃあ僕、休憩終わるから戻るね」

健「ん、頑張れ」


到着して直ぐ、ショックが大きかったのか部屋を飛び出して行ってしまったマリウス
後を追い掛けようとしたが、風磨にそっとしといてやろうと言われて部屋に残った

暫く眠っている勝利の姿を眺めた後
夜勤の休憩時間中だった聡も部屋を出て行く



〜〜♪

風「……悪い、もう一件来たから行ってくるわ」

緊急オペからずっと気を張っていたせいか疲れが顔に滲んでいる風磨も、その直後に当直のコールが掛かりそのまま再び救外へと戻って行った








健「勝利……痛かったよな…怖かったよな……」


眠っている勝利の手をやんわりと握りながら呟く

痛かっただの怖かっただの言ってみたものの
突然見ず知らずの相手から刺された痛みや恐怖なんて到底想像が及ぶ物ではなくて
それがまた悲しくて涙が溢れそうになる

それぞれもう独立した大人で、行動の全部を把握することは出来ないけれど、こういうことが起きるとどうしても、自分の長男としての無力さに打ちのめされるのだ






ガラッ



健「……っ!、マリウス……!」

マ「健人兄ちゃん……」



暫く静寂の時間が続いた後
病室のドアを開いて入って来たのはマリウスだった

その目は先程ここで見た時よりも赤く腫れていて、外で沢山泣いてきたのだろうということが容易に想像できた




するとおもむろに勝利に近付いていくマリウス


マ「勝利兄ちゃん
あの女の子、怪我ひとつしてなくて元気だったよ
だから安心して……勝利兄ちゃんも早く起きてね」


そっと手を握りながら穏やかな声色で話し掛ける末っ子
だけど話し掛けている内容が俺にはイマイチよく掴めなくて、首を傾げながらマリウスに問い掛ける




健「…あの女の子って……?」

マ「……あのね、勝利兄ちゃん…病院から抜け出して駐車場で迷子になってた小児科の女の子を……ッ、庇ってあげたんだって」

健「……っ!」

マ「さっき廊下でその子のお母さんに泣きながら何回もありがとうございますって言われたの
ちゃんと勝利兄ちゃんにもお礼がしたいって」

健「……」


知らなかった真実に驚くと同時についに涙が溢れる
悲しさと、そしてそれを上回るほど大きな……勝利に対する尊敬の気持ち





マ「すごいよね勝利兄ちゃん」


泣き笑いするマリウス

その顔にまた胸がギュッと締め付けられて
思わずその両肩を抱く




朝が明けるまで、俺たちはそうして肩を寄せ合い

涙が枯れるほど泣いた

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紫苑(プロフ) - 雨さん» そのように言って頂けてとても励みになります!ありがとうございます!これからも読んでいただけるよう更新頑張ります😊 (2022年2月18日 23時) (レス) id: 5a1aac4853 (このIDを非表示/違反報告)
- いつも見てます!紫苑さんのペースで頑張ってください!お話大好きです! (2022年2月17日 0時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 雨さん» 雨さんリクエストありがとうございます。なるべく早く更新できるよう善処しますので、暫くお待ちいただけますと幸いです😊 (2022年2月16日 23時) (レス) id: 06fd90b932 (このIDを非表示/違反報告)
- 健人くんの胃潰瘍のお話がみたいです (2022年2月16日 8時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 中途半端でもいいのでお願いします (2022年2月13日 0時) (レス) id: 5e65e2d11c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫苑 | 作成日時:2022年1月30日 0時

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