セクゾ兄弟はお医者さん３

脳血管疾患 ページ27

マリウスside



マ「………」

静かな個室の病室内、穏やかな顔で眠っている健人兄ちゃんの顔を見つめながら深く息を吐き出す

無事に手術が終わった安心感と、パニックになりながら救急車を呼んだ時の緊張感と、とにかく一日の間に色々なことがあり過ぎてドッと疲労感が押し寄せてきた




ガラッ


勝「遅くなってごめん！健人兄ちゃんは…！？」



大きな物音に顔を上げると
そこには息を切らしながら病室へと駆け込んで来る勝利兄ちゃんの姿が


聡「勝利、大丈夫だから落ち着いて」

風「まぁとりあえず座れよ」


パイプ椅子に誘導され
ゆっくりベッドの側へと足を進める勝利兄ちゃん


勝「ハァハァ…っ…手術は…？」

マ「無事に終わったよ
相当我慢してたのか結構血腫が広がってたみたいだけど、無事に取り切れて多分後遺症も心配ないだろうって。抜管したあとちょっと呼吸不安定で今は酸素してるけど、安定はしてるから」

勝「…よかった……」


安心したのか、そのままよろりともたれかかるようにパイプ椅子に座った勝利兄ちゃん
そして眠っている健人兄ちゃんの手を取り、何度も"よかった"と繰り返す

恐らく今回の血腫の大元の原因がこの前の交通事故だから、勝利兄ちゃんは特に不安で仕方が無かったんだと思う









健「………ん…ｯ…」

勝「健人兄ちゃん？！わかる？！」

健「…………しょ…り……？」

マ「健人兄ちゃん！」

健「………マリ、も……」


それから暫くして意識も回復した健人兄ちゃん

時間にすると1日にも満たない時間だけれど、健人兄ちゃんの開かれた瞳を見た瞬間はようやくホッと安心することが出来て、思わずホロリと涙が溢れた


その後色々再検査や診察を受けて、術後の経過は順調だと聞いて兄弟全員が胸を撫で下ろす
開頭した傷口は痛々しいけれど、約1週間経過を見て抜糸出来れば退院もすぐに出来るそうだ







健「いや〜、心配かけて悪かったな」

マ「ほんとに、救急車呼ぶ時手震えたよ」

健「そうだよな、ごめんな」

マ「あんな手足痺れたり目眩で吐く前にSOS出してよ…健人兄ちゃん無理しすぎ！」

健「マリ何その顔超可愛いんだけど！」

マ「ねぇ〜！ボク真剣に話してるんだよ！？」

健「ごめんごめん笑」


話しながらボクが頬を膨らますと可愛い可愛いと騒ぎ出す健人兄ちゃん
点滴に酸素マスクにって外見は病人のそれなのにケタケタ楽しそうに笑うもんだから思わず拍子抜けする



マ「本当に、無事でよかった」

健「……うん」

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