パニック障害 ページ17
風磨side
健「………ハァハァ…、ッ…ハァハァハァハァ…」
風「兄貴しっかりしろ!落ち着いて、吸わずにゆっくり息吐いて!!」
背中をさすりながら声を掛けるが、それだけでは根本的な解決にはならず、兄貴の呼吸は乱れたまま
せめて簡易的なものでもいい、袋などを口元にあててやりたいが、無常にも信号は青に変わってしまい、後ろから激しくクラクションを鳴らされる
大きなクラクションの音にもビクビクと身体を揺らした兄貴は、ますます顔色が悪くなっていくばかりで
俺は直感的に、まずここから離れなければと思った
風「兄貴、悪い!もう少しだから我慢して!」
健「…ッ、ハァハァハァッ‼︎…ハァッハァッ!」
荒い呼吸以外の反応を示さない兄貴に声をかけ続けながら、俺は法定速度ギリギリで車を飛ばし、病院の敷地内にある職員駐車場に滑り込むように車を停めた
風「兄貴落ち着いて
俺に合わせてゆっくり呼吸して?」
運転中だったこともあり、先程までは冷静さを失っていた俺も、停車できたことで少し余裕ができた
兄貴がこれ以上パニックにならないように、なるべく落ち着いた声色で話し掛けながら、車内にあったビニール袋を適当に拾い上げ、兄貴の口元に当てがう
健「……ハァハァ…ハァー…ハァー……」
風「そうそう、その調子その調子」
深呼吸を繰り返し、だんだんと正常なリズムに戻っていく兄貴の呼吸
それに安堵して背中をさすり続けていると、兄貴の身体からフッと力が抜け、俺の方に倒れ込んできた
風「……兄貴?兄貴?!」
肩を揺すると、どうやら眠ってしまったらしい
一先ず落ち着いたことに安心しつつ
先程の症状に、様々な不安が押し寄せてくる
脳内の血腫や出血など、何か目に見えない事故の後遺症が残っていたのか、はたまた精神的なものなのか
とにかくもう仕事どころではなくて、俺は兄貴の所属する脳神経外科に欠勤の連絡を入れ、眠っている兄貴の身体を救外まで運び入れた
北斗「あれ?風磨?……と、健人先生?!
どうしたんだよっ、え…何があった?!」
兄貴を抱えて現れた俺を見るなり、驚きのあまり素っ頓狂な声をあげる北斗
風「悪い、ちょっと色々あって
…とりあえずストレッチャー用意してくれる?
あとMRIとCTお願いしたい」
北斗「なっ……わ、わかった…準備してくる」
無理な頼みに困惑しながらも
すぐに動いてくれる北斗
俺は検査に向かう兄貴に付き添いながら
何事もないことを、ただただ強く願った
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紫苑(プロフ) - しんちゃんさん» しんちゃんさん、お返事が遅くなり大変申し訳ございません🙇🏻♂️更新がゆっくりなのでお待たせしてしまうかもしれませんが、お待ちいただけますと幸いです!リクエストありがとうございます! (2022年2月4日 1時) (レス) id: cf7849e4b4 (このIDを非表示/違反報告)
しんちゃん(プロフ) - はじめまして!リクエストお願いします!勝利くんが酷い虫歯になり歯医者に行くのが嫌で先延ばしにして最後にはふまけんが連れて行く話をお願いします! (2022年1月27日 23時) (レス) id: 664ceba53b (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - きささん» きささん、リクエストありがとうございます!お待たせしてしまうと思いますが、誠心誠意書かせて頂きます!これからもよろしくお願い致します! (2021年12月20日 0時) (レス) id: cf7849e4b4 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - なさん» なさんご意見ありがとうございます!どこまで続けられるか分かりませんが、意見を参考に更新頻度を少しばかり上げてみようかと思います!また読みに来て頂けたら嬉しいです!コメントありがとうございます! (2021年12月20日 0時) (レス) id: cf7849e4b4 (このIDを非表示/違反報告)
な - コメント失礼します!!紫苑さんの作品大好きでいつも読ませていただいています!更新の事なのですが、私は1話分が短くてもほぼ毎日更新が嬉しいです!!紫苑さんの作品をいっぱい見たいのでご検討よろしくお願いします!楽しみにしてます! (2021年12月17日 17時) (レス) id: dc50f807a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫苑 | 作成日時:2021年9月2日 21時