セクゾ兄弟はお医者さん２

喘息再発 ページ12

健人side



マ「…苦しかったよね？…怖かったよね？
健人兄ちゃん、ボク…ｯ、……ごめんね」


しかし予想とは反対に、マリウスから帰ってきた言葉は、震えた声で必死に紡がれた謝罪の言葉だった

100％俺が悪いのに
マリウスが頑張って治療法を考えてくれて、せっかく完治まであと一歩という所まできたのに、俺が勝手な判断で薬を自己中断して、こうして大発作を起こしてしまって……マリウスの努力はまるで水の泡だ
それなのに、彼は責めるどころか謝ってくる



健「……やめ、て……あやま、ん…なよ…」

マ「でも……ボクがちゃんと、もっと健人兄ちゃんのこと見ててあげればよかった…っ…」

健「……ちがう…俺が…悪い…マリウスの努力……むだに、した…ごめん…ｯ…ごめんな……」


情けないことに、涙まで出てきてしまった
これは自分の不甲斐なさと、マリウスに対する申し訳なさから流れた涙だ


健「……俺、嬉しかったのに…
マリウスが……俺のために…一生懸命、治療…がんばって……くれて…」

マ「…っ」

健「医者に…なりたい、って……言って…くれたのも…うれし、かった…誇らし、くて……自慢の…弟だって…ｯ…世界中に…言いふらしたい、くらい…」

マ「…健人兄ちゃん…ｯ…」




マリウスは本当に幼い頃に両親を亡くしているから、俺や風磨みたいに、両親の記憶がハッキリとあるわけではないと以前言っていた
だからこそ寂しくないように、俺も、風磨も、マリウスを沢山可愛がったし、大事にしてきたつもりだ


でも、マリウスの人生はマリウスのものだから
いつかマリウスが将来どんな人間になりたいと言っても、俺は心から応援するつもりだった

だから、昔の俺みたいに困ってる人や、その家族を助けてあげられる医者になりたいと言ってくれた時は、嬉しくて、誇らしくて、胸がいっぱいになって、風磨と二人で、弟達に隠れてたくさん泣いた


今回喘息が再発してからだって、いつも、いつも、俺はマリウスが誇らしかった
息が苦しくて、もうダメかもしれないと思う度に、背中を摩ってくれるマリウスの優しい手の温度と、落ち着く声に、何度も、何度も楽にしてもらった




健「……マリウスが…いてくれて、よかった…
勝手な…こと、して……ごめんな…ｯ…それでも…何度も…たすけて、くれて…ありがとう……」

マ「…ｸﾞｽｯ……健人兄ちゃん…
よかった…ボクも…ｯ…健人兄ちゃんが…無事でいてくれて…よかった…っ…」

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