セクゾ兄弟はお医者さん

高熱 ページ42

勝利side



数日前からずっと微熱が続いていることはさすがに自分では気付いていたけれど、お互いにバタバタと忙しくて、兄弟にはバレずにここまでやり過ごすことが出来ていた

だけど、今朝は風磨兄ちゃんに起こされるまで起きれなかったし、健人兄ちゃんの視線をやたら感じたし
バレるのも時間の問題な気がしてる
というか、健人兄ちゃんにはバレてると思う


とりあえず今日一日は体がもってくれればと思うけど、昼休憩に差し掛かる頃には身体が鉛のように重くて頭もガンガンと痛みが強くなってきた


勝「……っぃ、たｯ…」


思わず声が漏れてしまって、こめかみを手で押さえながら医局のデスクに突っ伏す

こういう時、隣のデスクを使っている同僚かつ親友の岸が異変に気付いてくれることが多いが、今日は公休のためデスクにその姿はない


悪態をつきながらも、なんだかんだ頼りにしている親友に今は頼れないということも、弱った身体に追い打ちを掛けてきて、だんだんと考えまで弱ってくる

勝「………」

たかが熱くらいで情けないが、なんだか訳もなく涙まで出て来てしまって、こんな姿絶対兄弟には見られたくないなとぼんやり考えていると



「勝利！おいどうした！！」


この緊張が張り詰めて、少しばかり殺伐とした医局に似つかわしくない大きな声が降ってくる




勝「………きたやま、先輩……？」


眉間に皺を寄せながらゆっくりと顔を上げると、そこにあったのは循環器内科で直属の先輩医師に当たる北山宏光先輩の姿だった

医者にしては目立ち過ぎるハイトーンのグレーアッシュの髪色に、ラフすぎるオーバーサイズのインナーとパンツスタイルで、白衣を羽織らず肩に掛けている姿が一際目を引く先輩

周囲からはチャラそうだと印象付けられて目をつけられることも多いし、実際破天荒な業務依頼を北山先輩から持ち込まれる時もあるが、医師という仕事に誰よりも誇りを持っていて情に熱い熱血漢。俺や岸といった後輩の面倒見もいい頼りになる先輩だ


北山「どうした、体調悪いのか？」

勝「……せんぱい…」


なんだかヒーローのようなタイミングで駆け付けてくれた北山先輩の姿を見たら安心してしまって

おれの目からは、膜を張っていた雫が
ポロポロとデスクに落ちていった

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