マールブルグ病 ページ32
S.Mside
勝「……わかった。じゃあ今晩は俺とマリウスが付き添うよ。風磨兄ちゃんと聡は……特に、いろいろあって疲れたと思うし、家でゆっくり休んで」
処置にあたった僕と風磨兄ちゃんを気遣って提案をしてくれる勝利
風「わかった、ありがとな2人とも
…聡、一回帰って休もう」
だけど僕は、どうしてもここから離れたくなくて
聡「ごめん、僕明日は夜勤だしもう少し残るよ
風磨兄ちゃんは先に帰ってて」
風「…いいけど
絶対朝までには帰って休めよ？」
視線から皆の心配が伝わってくる
きっと今の僕は酷い顔をしているんだろうな
それに申し訳なさを感じながらも、どうしても今は健人兄ちゃんと繋いでいる手を離したくなかった
こうして健人兄ちゃんの側にいると、今朝の処置室での光景がまたフラッシュバックする
怖くて足がすくんでしまった
動揺して指示が頭から飛んでしまった
目の前で大切な人が死にかけていたのに、尻餅をついてただ呆然と見ていることしか出来なかった
情けなくて、悔しくて、怖くて
こんな風に大切な人を失いかけて初めて、僕は命と向き合う怖さを、現実を思い知った
勝「聡、一緒に下の売店行かない？
飲み物とか買いに行こうよ、ほら、そう言えば俺たち夜ご飯もまだだしさ」
マ「そうそう、一緒に行こ！」
2人だって泣きたいだろうに、落ち込む僕を気遣って明るく振る舞ってくれる。でもその気遣いに応えられる余裕すら今の僕にはなくて
聡「…悪いけど、2人で行ってきて
僕ここから離れたくないんだ」
マ「聡兄ちゃん……」
勝「…ねぇ聡、そんな風に聡が思い詰めて、自分を消耗してまで側にいられても、健人兄ちゃんは喜ばないと思うよ？」
聡「……」
勝「風磨兄ちゃんにも櫻井先生にも言われたじゃん、俺らが元気でいないといけないって、それなのに」
聡「…っいいから放っておいてよ！
僕には僕の考えがあるんだから！」
勝「…っ」
3人の間に重い空気が流れる
いつも笑い声が絶えない兄弟と過ごす時間に、こんなにも息が詰まると感じたのは生まれて初めてだった
…ねぇ、健人兄ちゃん
いつも僕たちをお兄ちゃんとして明るく励ましてくれて、笑顔にさせてくれて、そして時にはお母さんみたいに優しく見守ってくれる
そんな健人兄ちゃんがいないと、僕ら全然まとまらないみたいなんだ
だからね
聡「……早く、起きてよ…」
手をギュッともう一度強く握って
気付くと僕はゆっくりと眠りに誘われていった
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紫苑(プロフ) - 紗瑛さん» お返事遅くなり申し訳ございません。嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張ります！ (2021年8月18日 19時) (
レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 空楽さん» お返事遅くなり申し訳ございません。そのように言っていただけて光栄です！8月後半は更新頑張りますのでまた呼んでいただけますと幸いです！ (2021年8月18日 19時) (レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
紗瑛 - 更新楽しみにしています！ (2021年8月12日 21時) (レス) id: 2dcb5022ff (このIDを非表示/違反報告)
空楽 - 更新楽しみにしてます！ (2021年8月7日 1時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - SZ*青薔薇さん» いつもコメントありがとうございます！共感して頂けて嬉しいです！笑 青薔薇さんの作品もいつも楽しみにしています！これからも応援してます！ (2021年8月2日 0時) (レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑 | 作成日時：2021年7月3日 2時
