マールブルグ病 ページ27
S.Mside
朝、救外が1日の活動を始めて少し経った頃
先輩が受け取ったトランシーバーから急患の受け入れ要請が入った
吐血をした20代男性
ここに運ばれてくる若年層の確率としては胃潰瘍か、事故による腹部損傷といったところだろうか
そんなことをなんとなく考えながら、僕は受け入れに向けて救急搬送口まで歩みを進める
救急隊員「到着しました！わかりますかー！？」
その人は救急隊員に呼び掛けられながら、ストレッチャーで救急車から降ろされ、こちらの搬入口へと近付いてくる、ここからではまだ顔はよく見えない
しかし、その後を追うように救急車から降りてきた人物の姿に、僕は言葉を失ってしまった
風「病院着いたぞ！兄貴！しっかりしろ！！」
聡「…う、そ…でしょ……」
固まって動けない僕の横をものすごい速さで通過していくストレッチャー。リザーバーマスクを装着されていて、顔の半分以上は見えなかったが、その人を、僕が見間違えるはずがなかった
聡「…っ健人兄ちゃん！！！！」
後を追い掛けるように処置室に入り、改めてその姿を視界に認めて足がすくみそうになる
風「モニター付けて！ルート確保！輸液生食全開！
急いで採血回して！」
そんな僕とは反対に冷静に指示を飛ばす風磨兄ちゃん
指示された通りにルートを確保しようと試みるが、その手すらも震えて上手くいかない
ピピピピピッ
やっとの思いでルートを確保し点滴を落とし始めた瞬間、モニターから嫌なアラームが鳴り響いた
風「サチュレーション下がった…
聡、急いで挿管の準備！！！！」
聡「…えっ……」
挿管、それは謂わば自発的な呼吸が困難な状態を示す
脳はその言葉の意味を把握しているが、僕の思考はそれを理解することを拒否するかのように、返事すらまともに口から出て来ない
北斗「聡は下がってて、俺がやる」
聡「……っ」
そんな僕の様子を見兼ねた北斗先輩が、俺をグイッと後ろに押しのけ、救急カートを引いて自分が前に出る
押しのけられた衝撃で、俺はその場で尻餅をついた
北「風磨、はい」
北斗先輩から受け取った挿管チューブをゆっくりと健人兄ちゃんの口腔内に押し込んでいく風磨兄ちゃん
聡「健人兄ちゃん……なんでっ……」
その辛い光景を、僕はただ尻餅をつきながら眺めていることしか出来なかった
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紫苑(プロフ) - 紗瑛さん» お返事遅くなり申し訳ございません。嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張ります！ (2021年8月18日 19時) (
レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 空楽さん» お返事遅くなり申し訳ございません。そのように言っていただけて光栄です！8月後半は更新頑張りますのでまた呼んでいただけますと幸いです！ (2021年8月18日 19時) (レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
紗瑛 - 更新楽しみにしています！ (2021年8月12日 21時) (レス) id: 2dcb5022ff (このIDを非表示/違反報告)
空楽 - 更新楽しみにしてます！ (2021年8月7日 1時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - SZ*青薔薇さん» いつもコメントありがとうございます！共感して頂けて嬉しいです！笑 青薔薇さんの作品もいつも楽しみにしています！これからも応援してます！ (2021年8月2日 0時) (レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑 | 作成日時：2021年7月3日 2時
