風邪 ページ20
S.Sside
勝「…はあぁ……」
医局に戻って椅子に腰掛けた瞬間、どっと疲労感が押し寄せてきた
肉体的な疲労に、患者さんに気を遣わせてしまった情けない自分への反省。そのダブルパンチですっかり気力を奪われた俺は、カルテを入力する手も進まない
岸「うわっ、勝利どうしたの？」
隣のデスクに着くなりギョッと分かりやすく驚いたリアクションを返す男
彼は、岸優太
俺と医学部時代からの同級生で、研修医時代、そして現在この病院で循環器内科医として働くに至るまで、お互いに切磋琢磨し、苦楽を共にしてきた仲間だ
岸「勝利がそこまで落ち込んでる姿初めて見たかも」
勝「…落ち込んでるのかな？…分かんないや」
岸「もしかして、患者さんになんかあった？」
勝「ううん、今のところ経過は順調な人ばっかり」
岸「じゃあどうして」
勝「…なんでもないよ」
岸「なんでもなくは見えないって」
普段ふわふわした性格だから気付きづらいけど、秘めた意思の強さを表すかのような強い目ヂカラ
昔からそれに射抜かれると、何故か隠すつもりでいたことまでも彼に話してしまう自分がいた
勝「……不安を抱えてる患者さんの力になるために俺はここにいるはずなのに、逆に不安にさせちゃった気がして、俺何やってるんだろうって…」
岸「…あー…」
俺の抽象的な表現も、何となくフィーリングで汲みとって理解してくれる彼
岸「勝利は真面目すぎるんだって
もう少し一つ一つのことを、重く受け止めすぎないようにしないと」
勝「無理だよっ…軽くなんて、受け取れない…」
岸「…勝利」
勝「俺たちは…っ…ﾊｧﾊｧ…
命を、託されてるも…同然なんだよ」
岸「……勝利？」
勝「身体のことも、心のことも…コホッ…
フォローするのが…ﾊｧﾊｧ…当たり前で…」
岸「勝利、ちょっ、一旦落ち着こ」
言いながら何故かボヤけてくる視界
なんとなく息も上がってきているし、体も熱い
そして目の前であたふたしだす岸の姿
勝「……だからっ…俺が…ﾊｧﾊｧ…しっかりしなきゃ、いけないのに…ゴホッ」
岸「…ちょっ」
勝「兄ちゃんたちや、マリウスや、聡みたいにっ…ゴホゴホッ…ちゃんと身も心も預けられる…ﾊｧﾊｧ…頼りがいのある医者に…」
そこまで言って、ふわりと横に傾いていく身体
岸「……っ勝利？！！！」
最後に耳に届いたのは親友の慌てた声
心配かけて悪いな、なんて思いながら
俺の意識はそこでブラックアウトした
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紫苑(プロフ) - 紗瑛さん» お返事遅くなり申し訳ございません。嬉しいお言葉ありがとうございます。更新頑張ります！ (2021年8月18日 19時) (
レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 空楽さん» お返事遅くなり申し訳ございません。そのように言っていただけて光栄です！8月後半は更新頑張りますのでまた呼んでいただけますと幸いです！ (2021年8月18日 19時) (レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
紗瑛 - 更新楽しみにしています！ (2021年8月12日 21時) (レス) id: 2dcb5022ff (このIDを非表示/違反報告)
空楽 - 更新楽しみにしてます！ (2021年8月7日 1時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - SZ*青薔薇さん» いつもコメントありがとうございます！共感して頂けて嬉しいです！笑 青薔薇さんの作品もいつも楽しみにしています！これからも応援してます！ (2021年8月2日 0時) (レス) id: 39722e53c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑 | 作成日時：2021年7月3日 2時
