そばにいるよ

◎ ページ24

F.Kside



弟たちの前ではカッコいい兄でいたい


そんな兄貴の気持ちも痛いほど分かって


俺が言葉に迷っていると


突然部屋に入ってきた勝利



勝「健人にいちゃんごめんね

俺って今まで健人にいちゃんの障害のこと

知ってるようで全然分かってなかったんだね」


健「……」


勝「健人にいちゃん俺たちの前で

全然弱いとこ見せてくれないから

正直、薬で治そうとしてることすら知らなかった」


健「それは…」


勝「うん、分かってる

俺たちに心配かけないようにって

気を張ってくれてたんだよね？」


健「……」


勝「そういうかっこいいとこが

俺たちは大好きだし、尊敬してるし

……ね？風磨にいちゃん」


風「……ま、まぁ…」



勝利からの突然の鋭角なパスに

思わず口ごもりながらもなんとか反応を返す



勝「だけど外でも完璧にしようとして

もし健人にいちゃんが壊れちゃったら

それこそ俺たちは一生後悔するんだよ」



勝利の言ってることはよくわかる


兄貴の抱えている障害は周りと少し違うってだけで


命に関わったりするものではない


だけど


生き方、障害との付き合い方を間違えれば


心が壊れてしまうことは十分にあり得る



勝「あとは健人にいちゃんが決めることだけど

俺たちは健人にいちゃんがずっと

元気でいてくれないと困るんだってことは

知っててほしいな」



そう言葉を締めて


すこし恥ずかしそうに笑顔を見せる勝利




普段可愛らしい見た目に反して


照れ屋で兄弟に対してぶっきらぼうな


物言いになることもある勝利


そんな勝利から時々向けられる言葉は


芯が通っていて、真っ直ぐで、誠実で


じわりと心を燃やす温かさがあった

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