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「そ…れは……」


「はぁ…ウワサって怖いなぁ」


「じゃあ、ウワサは全部デタラメ?」


「いや。“バンド組んでる”いうんはホンマ」


「そっか。でも授業は…」


「出てるやろっ」


「けど、寝てるでしょ?」


「まぁ……大体わかるからな」


「………えっ?」


「わかる授業、聞いとっても意味ないやろ」


「それは、そう…だけと」


「言うとくけど、俺 最下位やないからな」

“ほれ”と見せられたのは、2年生の学年末テストの成績表


「学年……8位っ⁈」


「そっ。俺 まぁまぁやろ?」


「う…うん」

ニカッと笑ったその顔

初めて見る渋谷くんの笑顔に、心に小さな波がたった気がした


「トップ5に入ってる奴らは、他の奴の成績なんて気にしてへんねん。1位とることに必死やからな。木下も……お前も」


「……………」

返す言葉がなかった

渋谷くんが言ってる事は、事実だったから


万年2位の私は、母から

『いつになったら1位になるのかしら?』

と、プレッシャーをかけられ、上にあがることしか考えてなかった


「なんか、ホント ごめんなさい」

渋谷くんのこと、何も知らなかったのに、ウワサ通りの人だと勝手に決めつけて…これじゃあ、木下くんとおんなじだ



「ええって、もぉ。それより勉強…せんとな」


「いいよ…もう」


「何で?」


「だって、私が勝手に言い出した事だし」


「別に……お前のために勉強するわけやないし。あの木下って奴、1年の時からあんな感じでムカついてたし。あいつの伸びきった鼻、へし折るいいチャンスやろ」


「それは、そうだけど」


「俺がやる言うてるんやから、ええやろ?」


「………うん」


「ほな、お願いしますね?原田先生」



こうして、私達だけの勉強会が始まった

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作者名:ちか | 作成日時:2019年10月20日 23時

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