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「村上くんっ！」
「お〜っ、わざわざスマンかったな」
病院からの電話
同じ番号から何度も着信があったから、かけ直したら私に繋がったとの事
“すぐに来ていただけますか？”
と言われて、タクシーに飛び乗った
病院に着いて、言われた階に行くと、右足に包帯をグルグルに巻かれた、村上くんが座っていた
「どうしたの？その足」
「や〜っ、ちょっと捻ってもぉてな」
「捻ったって、どういう事？」
「いやな？駅着いたら、でっかい荷物持ったおばあちゃんがおって、大変そうやから荷物運んであげとったら、階段で後ろから誰かぶつかってきて、階段踏み外してもぉて…」
「捻挫？」
「おん」
「ねぇ、何…やってるの？」
「んっ？」
「そりゃ。おばあさんを助けるのも大事だけどっ。今日は…今日くらいは、試合のことだけ考えても良かったんじゃないかな？」
「……原田さん」
「だって、今日の試合がどれだけ大事か、村上くんわかってたでしょ？」
「………試合は？」
「さっき、負けたって連絡、あった」
「そっか……まぁ、しゃーないな。あいつら、俺がおらんと何も出来ひんのなっ」
「………なんで？」
「ぅん？」
「なんでそんな風に、笑ってられるの？みんな、いつ来るかわからない村上くんの事、待ってたんだよ？村上くんと全国行きたいって頑張ってたよ？なのに、どうしてっ……」
「俺かてっ！」
「…………っ」
「俺かて、全国行きたかったよ。今のメンバーと一緒に、ずっと試合し続けたかった。まさか、おばあさん助けて捻挫するなんて、思わへんやろっ？」
「………村上くん」
「俺、どないしたら良かった？しゃーないって思うしか……ないやろ」
「……………」
「こんなとこまで、ありがとうな」
「………ううん」
「悪かったな、全国連れてかれへんくって。………帰るわ」
「ちょっと、待って。村上くんっ、あのねっ？」
「…………」
「聞いてほしいこと、あるんだけどっ」
「なに？」
「実は、私 村上くんのこと……好き……なの、かな？」
「はぁっ⁈」
「いやっ。今のは……うん。忘れていいから」
「なんや？そんな中途半端な気持ちで、俺に告白してきたんか？」
「そっ、そんな事はっ」
「そもそも、“好きなのかな？”って俺に聞かれても、知らんし」
「ごめん……なさい」
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作者名：ちか
| 作成日時：2019年10月20日 23時
