七色幸せ笑話【短編集】 (ページ9)

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「え～っ…と……あった」

はぁ、ついてない

せっかく友達と、寄り道してアイスクリーム食べて帰るはずだったのに

宿題のプリント忘れるとか

「ホント、ついてない」

プリントをかばんにしまって、教室を出ようとしたら、勢いよく開いたドア

カツカツと近付いてきたその人は

「自分さぁ…」

とんでもない事を言い出した

「俺ん事、好きなん？」

「は…い？」

「呼び出したの、自分やろ？」

「よび…だし？」

「………ほら」

目の前に突き出された、可愛らしい便箋には

『放課後、3-Cの教室で待ってます』

何だこれ？私、こんなの知らないし……

「えっ、と……それは……」

「俺、君のことよぉ知らへんし、そういう気ぃも、さらさらないし」

イヤ、だから。それ、私じゃないし…。ってか、何で私、フラれてるの？

「あの。だからソレ……」

“私じゃないです”

そう言おうとしたら

「横山くん、ごめんねっ？」

教室に入ってきたのは、女子バスケ部の部長さん

「えっ？前田っ？えぇっ？」

みるみる赤くなっていく、横山くんの顔

「原田さん、どうしたの？」

「宿題のプリント、忘れちゃって」

「そっか、また明日ね」

「うん、また明日」

クラスメイトの前田さんと挨拶を交わし、教室を出る

私が、横山くんに告白なんてするわけないじゃん

横山くんは、男子バスケ部の部長さん。1年生の時からレギュラーに抜擢されて、3年生の今では、絶対的エース

かたや私は、その辺にいる普通の女子高生

“園芸部”なんて、地味な部活に入ってて

『俺、君のことよぉ知らへんし』

そりゃ、そうでしょうよ。同じ学年ってだけで

横山くんと私は、月とスッポン

私たちに接点なんて、何ひとつない

そんな私が告白なんて、するわけないじゃん

なんか……ホントに今日は

「……ついてないなぁ」