七色幸せ笑話【短編集】 (ページ16)

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特に、趣味という趣味もなく、部活にも入らず、毎日をなんとなく過ごしてきた

私の人生、こうやってなんとな～く何も起こらず、淡々と過ぎていくんだろうな…そう思ってた

『なぁ。原田さんって、部活入ってへんのよなぁ？』

高校2年生の3学期。村上くんに声を掛けられるまでは、そう思ってた

村上信五。サッカー部の次期キャプテン。生徒会副会長で、とにかく目立つ男。2年生になって、初めて同じクラスになったけど、1度も会話なんてしたことなかった

それが急に

「なぁ。原田さんって、部活入ってへんのよなぁ？」

そんなこと聞かれても

「…………」

驚き過ぎて、言葉が出ない

「帰宅部やって、聞いたんやけど」

「あ………うん」

その上

「ならさぁ？サッカー部のマネージャー、やらへん？」

こんな提案されても

「は……はぁ」

すぐに、ちゃんとした返事なんて、出来るわけがない

「実は、マネージャーがひとり、3月いっぱいで辞める言うててな。後任が見つからへんくって」

「………うん」

「そこで、原田さんにお願い出来ひんかな？思って」

「そんなの無理だよっ。私、サッカーのルールなんて、知らないよ？」

「そんなん、すぐ覚えられるって」

「マネージャーなんて、した事ないし」

「この3ヶ月で、仕事覚えてってくれたらええから」

「そもそもっ。何で私なの？」

「やって………ヒマやろ？」

「そ……れは………」

確かに、暇だけど

「ほんなら、ええやんか。たかが1年やし。絶対、全国大会連れてったるから」

どこからくるんだろう。その自信

「やって損はさせへんから。頼むっ！」

手パチンと合わせて、頭を下げられたら断り辛くって

「……本当に、私で大丈夫かな？」

「大丈夫、大丈夫………って事は、引き受けてくれるん？」

「…………うん」

「ありがとぉ」

ガシッと手を握られて

「よろしく頼んます」

ブンブンと振られて

その日から、私の当たり前の毎日が、一変した