19時 ページ26
その一言に、ほっと胸をなでおろす。
「とりあえず、良かったです……」
「それにしても本当に意外だねえ」
そう言って鴎外さんは、また面白そうにニコリと微笑む。
「“あの”広津さんが、女性の……ましてや少女の服を選ぶなんてね」
「似たようなことおっしゃってましたよ」
子供の好みなど、って。
「そうなのかい?そんな彼が本当に、少女の服を選んで買った?…………いやはや、ますます、楽しみですなぁ」
ワザとらしく、架空の顎鬚を撫でるふりをする。
「それじゃあA、彼の好意を無下にしないためにも早く寝ると好い。最高の状態では無い時に写真撮影するのも、されるのも……本望ではないだろう?」
「そうですね……それでは、明日を是非楽しみにしていてくださいね」
「勿論だよ」
ドアノブを捻って部屋を出る。その閉じる刹那、ふと振り返れば彼が手をヒラヒラと振っていた。
――高揚している。
自分の気持ちが、昂っている。
――なんで?
――鴎外さんのちょっとした優しさに触れたから?
何はともあれ。
こんなに明日が楽しみだったことは無い。
…………はず。
部屋に着くなり、ベッドになだれ込む。
――服を見せることが、こんなに楽しみだなんて。
枕元に置いた“渡された草臥れたヌイグルミ”を眺める。
すでに手帳に姿・形などはメモしている。
「これ、明日使うのかな……」
小さくつぶやいた後、欠伸が出る。
予想以上に疲れていたらしい。
――寝よう。
手早く身支度を整え、何気なくその人形を抱きしめて眠る。
私の体よりずっとずっと小さいその人形。
あと十年程前であれば丁度いい遊び相手になっただろう。
――もしかして、遊んだことがあるのかな。
――……まさかね。
(蟲惑した覚えは)
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臣民(プロフ) - 坂竹会長さん» 返信が遅くなってしまい、誠に申し訳ありません……!お互いに無理のない程度に頑張っていきましょう!^^ (2019年6月6日 21時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - すッッッッッッッ(殴みません((!! 習い事の試験やら、学校という悪魔やら風邪やらなんやらで全然開けてませんでした…;;(笑)続編…!!更新頑張ってください!!私も頑張りまs((蹴発火 失礼しました_;;ーд#_ (2019年6月3日 8時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - もくれんさん» ありがとうございます!より一層、精進してまいりますので、よろしくお願いいたします! (2019年5月12日 22時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
もくれん(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張って下さい! (2019年5月12日 18時) (レス) id: b1b6b426cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:臣民 | 作成日時:2019年4月21日 19時