12時 ページ23
「……立原さんは、私についてどうお思いですか?」
「どう、って…………」
いきなりストレートに訊きすぎたかな。
「深く考えなくて大丈夫ですよ」
「……そうか」
助け船をだし、返答を促す。
立原さんはしばらく考え込むと、少しだけ口を開いた。
「まぁ…………気の毒だと思ってる。記憶がリセットされるとか、人生やってらんねぇ」
「や、“やってらんねぇ”……ですか……」
「そうだろ?」
思わず繰り返すと、彼は言葉をつづけた。
「生きがいとか、自分の使命とか、全部忘れるんだろ?仲間、友達、家族……兄弟、とか」
――確かに。
私は彼が言った“全て”を覚えていない。
過去に置き去りにしたのか、元から無いのかは分からない。けれど……そんなのって――
「そういうの、すっげー虚しいと思うぜ」
――虚しい。
虚とは無である。
だからこそ、彼の言葉が胸に刺さる。
刺して、抉って、かき回されるくらいに痛い。
「…………生きがいさえ覚えて無いなんて……本当に何もないんですね、私」
目の前のキラキラした服も、忘れてしまえば無だ。
“無駄”なのだ。
「……じゃあ作れよ」
「………………えっ?」
驚いている私を無視して、彼は喋ることを止めない。
「復讐でも、何でも……好きな“ケツイ”を持って作れば良いだろ、生きがい。そうすればどんなに絶望的でも“そんなのお断りだ”って思って諦めないだろ」
俺はそうした、と言ってようやく立原さんは口を閉じる。
――心が折れても
「……立原さん、なんだかお兄さんみたいです」
「なんでだよ……」
兄ならもっと出来が良いだろ、と唇を尖らせる。
……最も、私に兄がいたかなんて分からないが。
――生きがい、か。
(了見を広げて)
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臣民(プロフ) - 坂竹会長さん» 返信が遅くなってしまい、誠に申し訳ありません……!お互いに無理のない程度に頑張っていきましょう!^^ (2019年6月6日 21時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - すッッッッッッッ(殴みません((!! 習い事の試験やら、学校という悪魔やら風邪やらなんやらで全然開けてませんでした…;;(笑)続編…!!更新頑張ってください!!私も頑張りまs((蹴発火 失礼しました_;;ーд#_ (2019年6月3日 8時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - もくれんさん» ありがとうございます!より一層、精進してまいりますので、よろしくお願いいたします! (2019年5月12日 22時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
もくれん(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからも頑張って下さい! (2019年5月12日 18時) (レス) id: b1b6b426cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:臣民 | 作成日時:2019年4月21日 19時