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第四十三話 帰路 ページ45

――「Aちゃん!」


自室へ赴く途中に、運がいいのか悪いのか。
首領と鉢合わせた。


「暫く姿を見なかったから何かあったのではと思ったけど……」


そう言って、首領は私の全身を隈なく見つめる。


「何処かに行っていたのかな?」
「…………探偵社の、社長を、仕留めに」
「何だって?」


私の言葉を聞いて目を見開く。


「一人でかい?」
「はい」
「どうしてそんなことを……!」


肯定すれば、肩を掴まれる。

労って下さるときに肩に置く手とはまた違う手。
少し、痛い。


「……とある方から聞いたからです。
 首領が“探偵社の社長を葬る”と云ってた、と」


――コレが終われば、きっと愛してくれます……よね?


「あっ」


短い声を漏らした私に、首領が首を傾げる。
だが、今、それはどうでもいい。


「……あ、あの、でもっ! 私、失敗してしまって……!
 あぁ、でも、それよりもこれは自主的なもので……ああっ!」


言葉を発せれば発す程、
その文字たちが思考に纏わりつき、機能を停止させる。


「兎に角、落ち着きたまえ……。
 君は私のために秘密裡に行動したけれど、失敗してしまったんだね?」
「え、えっと、はい、その通りで……」


どうしようどうしよう、と俯いていると
首領は困ったように頭を掻く。


「Aちゃんは真面目だね……。
 大丈夫だよ、福沢殿には私でも勝てない」
「……首領でも……ですか?」


驚いて尋ねれば、無言で頷く。


「だから、失敗して当然。
 故に、君は気を止まなくていいのだよ。
 ……今度から、そういう無茶は止めてくれると約束してくれるかい?」
「……分かりました」


誓えば、首領は安堵したのかため息を吐く。


「……でも、まァ。
 Aちゃんが無事で良かったよ」


そう言って、首領は私を



抱きしめた。


 

(うむあるむんぐ)

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 森鴎外   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - 1でお願いします! 更新頑張ってください!!続き楽しみにしてます!! (2018年4月8日 21時) (レス) id: 7443137317 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - みぃさん» 原作第五十話に続くような形で書かせて頂きました。二三回読める話をモットーとしておりますので、深く考えていただけたら嬉しい限りです。更新頑張ります! (2018年4月7日 11時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 最後ので涙がブワッと…エリスちゃぁぁああん!! 更新楽しみにしています! (2018年4月5日 16時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
臣民(プロフ) - **楼椛**さん» いえいえ!応援有難う御座います。たっぷりお楽しみください! (2018年3月26日 20時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
**楼椛** - 初コメ失礼します!今日初めて拝見させていただいたのですが、とても面白いです(ありきたりな言葉ですみません) 更新頑張ってください!これからも森さんを楽しみにしてます!←← (2018年3月26日 19時) (レス) id: e7e0abd8b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:臣民 | 作成日時:2017年10月22日 9時

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