ささえあい。2 (ページ8)

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結局、本当に言いたい事は言えないまま駅に来た。

「じゃあ…また来年」

『また来年』

「…まあ、絶対今生の別れじゃないし、何かあったら連絡頂戴」

『うん…』

あーあ…本当にこれでいいのかな。言わないままでモヤモヤし続けて、多分、時に寂しくなって電話も出来なくて一人枕を濡らすよなあ…
ああ、ダメだダメだ！笑わなきゃ！！

『マサさん！』

「好きだよ」

『……』

…え…

「行ってきます」

……待って、行かないで…
マサさん…行かないで…！

「…A、ちゃん？」

『っ…言い逃げ。ずるい』

一時の別れの前。時間も無いのにマサさんの腕を取ってしまった。笑って誤魔化してやり過ごそう、言わずに留めておこうとしてたのに、爽やかな笑顔で好きだよなんて…ああもう！

『…私も、好きです』

言えた。
好きって、言えた。

「…うん」

『うん』

心が、スッキリした。
ドキドキしてるけど、どこか心がスッキリしている。マサさんも私と同じように一瞬驚いた表情を見せたけど、次第に柔らかくて優しい笑顔になった。その笑顔、好き。

『いつか、マサさんの隣で、マサさんの支えになるから』

「ありがとう。俺もちゃんと、Aちゃんの隣で、Aちゃんの支えになる」

私達は井上昴というバレーボーラーに出会って世界が変わった。辛い事もあったけど、私はマサさんのおかげでここまで来られた。マネージャー兼心理カウンセラーとしての恩返し…それは勿論だけど、それ以外でもマサさんを支えたい。それは好きだから。恩返しじゃない。

ささえあい…

支え合い…

支え愛…

だったりして。

fin.