ささえあい。2 (ページ4)

今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:18,764 hit

51 ページ4

『終わっちゃった…』

グラチャンバレーの結果は良くなかった。若さが裏目に出てしまったこのチームには、更なるレベルアップが求められた。

「3日後だけど、マサさんに何か言った？」

『まだです…』

そんな中、マサさんは3日後にはドイツに行く。今は、強くなって集まろうという打ち上げだ。皆が疲れた体にエネルギーを摂取してスタッフも混ざって今後の事や反省会を色々と話し合っている中、私と石川くんは少し離れたところで静かにデザートのフルーツを食べていた。

「じゃあ俺とイタリア行く？」

『だ、から…！行かないってば…』

「はは、冗談だよ」

『冗談に聞こえないから…』

そんな石川くんは大会期間中に怪我をしてしまい、まずは治療から入る。大学の試合もあるのに…と下を向く私達だったけど本人は至って前向きで、あぁ、大丈夫だ、と何だかそう思えた。この元気が空元気じゃなきゃいいけど…

「好きなの？」

好きなの？

『……』

声に出すのが恥ずかしくて頷いた。

「ちぇ…何だよ」

『え、ご、ごめん…！』

「謝らなくていいよ。でもやっと気付いたじゃん。そういう所、意外と鈍感だよね」

何ともまあ言いたい放題…
それでも、私がこんな事を打ち明けられるのは石川くんしか居ないから、相談に乗って貰えるだけでもありがたい。

『…私、昴くんのツテでここに来たんだよ？』

「それは関係無いでしょ。俺だって、そんな寺島さんを好きになったんだから」

『うぅ…あ、何で昴くんと私の事を知ってたの？』

「…まだ言わない」

『えぇ…』

いつになったら言ってくれるんだろう…

『じゃあいつ教えてくれるの？』

「俺の気が向いたら」

何と気まぐれな…

「で、明日にはドイツだよ？ちゃんと自分の気持ち言ったら？」

俺みたいに、と冗談のように言ってきた。でもそれは状態には聞こえない。仮にも私は、告白してくれた石川くんをフッたんだから。多少なりとも罪悪感はある。

『…石川くんは凄いよね。ちゃんと言えるんだもん』

「男だし。ちゃんと言わなきゃ」

『かっこいいなあ』

「あのさ…寺島さんって本当、傷に塩を塗りたくるよね」

『ご、ごめん…！』

「とにかく、取材とかもあるんだから時間無いよ。次に会えるのは来年なんだから、ちゃんと伝えたい事は伝えろよ。じゃないと俺が奪う！」

『…はい』

ご指導ご鞭撻ありがとうございます、石川先生。