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あ、あああ、あの…マサさんに抱き締められたままなんですけど!?
まだ背中越しだからいいけど、マサさん独特の良い香りとか触れ合う肌とか(夏なので)…全てにおいて滅茶苦茶緊張してます!背中越しでもアウト!
「…いい匂い」
『っ!』
電気を消して真っ暗な部屋の中にマサさんの声が後ろから聞こえる。暫く経つけど寝てなかったのね…否、眠れない?
『あの…眠れないなら、離しません?うっ』
言ったそばから抱き締める力を強めてきた。
離す気は無い、と。
『…左腕、大丈夫?痛くない?』
下に回っている腕だ。一応枕で浮いたスペースに収まっているけど、私の体重が少なからずかかっているから大丈夫なのかなって。するとマサさんは大丈夫、と返しくれたけど…ほとんどゼロ距離からの声は反則だと思います!私、眠れるのかな…
「ねえ、知ってる?」
『?』
「心臓の音を聴くと、寝られるんだって」
……えっと…?
「暗いしこっち向けば?」
『!』
ぇぇええええ
無理無理無理!!例え暗いとはいえ至近距離ですよ!?私のドクドク聴こえちゃうじゃないですか!あれ、もしかしてもう聴こえてる?だから言われてる!?
「…何もしないから。本当」
『っ…』
マサさんがそう言うと、こっちを向いてと言わんばかりに次第に腕も緩んできた。そして何故かここで発動するお人好し。向き直ると、予想通りというか予想以上というか、目の前に綺麗に整ったマサさんとばっちり目が合いました。
幸か不幸か、夜目がきいてきたのではっきり目が合ったと認識出来る。見つめ合うその目にどんどん吸い込まれていく。心臓の音なんてどっちのか分かんない。
そっか…
このドキドキは…マサさんが好きって事なんだ。
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作者名:しおん | 作成日時:2019年11月24日 22時