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その後、私達はマサさんの言っていたようにカフェに来た。だが、この人は日本代表のNEXT4だという事を忘れてはならない。

『絶対、顔バレしてるよ!私達勘違いされるやつだよ!』

「大丈夫だよきっと。心配しすぎ」

マサさん…昴くんの楽観的な所が似てきた?
後ろ髪を引かれる思いで入店すると店内は比較的空いていて、先程迄の寒さなんて忘れるぐらいの温かさに包まれた。
もし仮にマサさんだとバレなくても長身イケメンが来れば店員さんは声を掛けられずにはいられないだろう、そう思っているが口にしない。マサさん、イケメンって言われるの苦手らしいから。高校時代から注目されてきた人が何言ってるの、それもちゃんと言いません。

「何飲む?」

『…カプチーノかな。何飲むの?』

「このラテと、カプチーノをトールサイズで」

『え!?』

マサさんから奢ってと言ってたのに、何故かスムーズにお財布を出してお会計をしてしまった。普段のご飯でも多めに出してくれているのに何だこの至れり尽くせり…じゃなくて!

『私が払うのに!』

「いいの」

『いやでも…』

「出しても受け取らないよ」

そう言ってスタスタと数歩先のカウンターに行ってしまった。それどころか「席で待ってて」と言われて、ソファではなく反対の椅子の方で座って待っていると「何でそっちなの」と、トレイを持って不機嫌そうに言われてしまった。完全に彼女扱いじゃないか。だからもう、勘違いされるやつ!

『ねえ、絶対勘違いされてるよ』

「うー、寒かった」

ちょっと聞いてますかお兄さん。

「昴さんと結構してたんだね」

『え?』

「バレー。1回もミスんなかったじゃん」

『うん、お世辞で上手いって言われてた』

「いや、それお世辞じゃないから」

唐突に話を振られて完全にマサさんのペース。マサさんが飲んだのを確認して私もそれを口にする。うん、美味しい。温まる。
それにしても店員さん達すっごいニコニコしてたけど絶対、イケメン判定もしくは柳田将洋だと分かってたよ。さっきまで使っていたボールはバッグに仕舞っているが、バレーファンからすれば本人である事は一目瞭然。そこでSNSに流すか声を掛けるかスルーするかは目撃者次第で、世の中怖くなったもんだと中年みたいな事を考えるのは21歳の大学3年生。

「…やってよかった?」

『…うん。やってよかった』

マサさん、やっぱりバレーは楽しいね。
昴くん、私は前に進むよ。
だから、見守って欲しいな。
これからの私の人生を。

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作者名:しおん | 作成日時:2019年10月26日 6時

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