ささえあい。 (ページ44)

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『お水、ごめんね…本当はマサさんが飲むはずだったのに』

「いや…」

折角、お水を貰って酔いも少しずつ醒めてきているのに上手く会話が続かない。あれ…マサさんと居てもこんなに心がチクチクしたりするものだったっけ。気分もそんなに上がらないし…

「…レモンサワー、昴さんがよく飲んでたね」

『……うん』

…気付いてた。

「…やっぱ今日、無理して飲んでたでしょ」

『！』

「俺が気付かないとでも思った？」

突然の切り返し、不意をつかれた。代表の中でもマサさんとは付き合いが長いから、本当に私の事を分かってる。気付いて…ほしくなかったよ。

『…』

だって…

『はは、もうマサさんたら…』

私が弱いってバレちゃうじゃん。

『久しぶりだったからちょっと調子に乗っちゃっただけだよ』

私は皆を支える為に強くなくちゃいけないのに。

『本当、うん…楽しくて飲んじゃったの』

「……じゃあ、何で泣いてんの」

『……え』

「下手な嘘つかなくていいから」

ああ、もう…零れないように我慢してたのに…何で出てきたの。重ねられた手が大きくて温かくて、一人だと思い込んでいたところに優しい温もりを与えてくれた。寂しかったところからの安心感…もう、抑える事は出来なかった。

『……』

昴くんの時みたいに大号泣って程ではなかったけど、暫く泣き続けた。やっぱりマサさんは優しくて、泣いている間ずっと手を握ってくれて、背中をさすってくれた。ああ…きっと明日は目が腫れる。皆にも心配されないようにしっかり冷やさなきゃ…

『…昴くんが居なくなって…』

完全に酔いも醒めて冷静になった私は、下手な嘘の正体を明かした。

『お酒、飲むとね、寂しくなるんだ。だから…やめてたの』

ぽつりぽつり、虫の声に負けそうなか細い声はマサさんに届いてるのかな…

『でもね、マサさんとは…寂しくなかった。それなのに今日は…』

寂しくなった。

『…駄目だなあ…強くなきゃいけないのに』

「そんな事ない。俺には全部見せて」

『駄目だよ、頼りすぎちゃう』

「いっぱい頼って」

見上げたマサさんの表情は、石川くんに告白された後に見たあの時とは少しだけ違った。どこか穏やかで、でも悔しそうな中に、何かを決意した強い思いが伝わってきた。