3両目 ページ3
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翌日から
痴漢には会わなかったけど
茶色い瞳の人には毎朝会った
会ったっていっても勝手に見てるだけだけど。
ちょっと猫背で
オトコの人にしては小柄だな
人ごみの中からそっと盗み見してみる。
顎のホクロ
右頬のホクロ
それから両耳にもホクロがあった
大抵サラサラな髪の毛をそのまま降ろしてて
でもたまにセットしてる日もあって
どっちもカッコいいなあなんて思う。
学校にも男の子はたくさんいるけど
もちろんその子達とは全然違ってて
今日は眠そうだな
今日は目の下にクマできてますけど
あっ、今日はご機嫌だ、でも寝癖(笑)
毎日ドキドキしながらその人を見ていた
そんなある日
今朝も一緒かななんてちょっと気もそぞろだったせいか
いつもなら立ち止まらない出入り口付近で動けなくなってしまった
しまった…かも………
そう思ったら案の定で
イヤでイヤで
頑張って体を動かそうとするけど動けなくて
怖くて、悲しくて
ほんとに泣けてきた
このままだと涙零れちゃうと思った時
カーブで電車が揺れる
後ろにいた人が電車が揺れたのと同時に私の背中を押してきて
その動きのお陰で少し体制が変わったせいかそれ以上触られることは無かった。
ほっとして自分の駅で降りる
今日は辛かったななんて思いながらいつもの習慣で窓ガラス越しに車内を見る。
ぱちって
もし人と視線があった時に音がするならこんな音がするのかも
そう錯覚するくらい今日は茶色い瞳の人とキレイに目が合った。
今日はあの人どこに乗ってたんだろう
自分がいっぱいいっぱいで観察できなかったなぁなんて思う。
凄く嫌な出来事だったから電車なんてもう乗りたくないっていう気持ちだったけど
あの人にまた会えるなら少し我慢しようなんてゲンキンに思った。
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作者名：雪月
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=verbena
作成日時：2014年6月8日 0時
