11話 �� ページ38
「気を落とすなよ。男ならこれくらいのことは乗り越えなくちゃ」
鈴木さんの声がむなしく聞こえるほど若武はガックリと肩を落とし、横倒しにされた自転車の前にしゃがみこんでいた。
「ちっきしょう...」
「若武、そこ退け」
と、若武を押しのけて上杉が自転車を観察し始めた。
慎重な手つきで折れたスポークやパンクしたタイヤに触り、ペダルをひっくり返し、ひん曲がったトップチューブの様子を調べる。
そのうちに、
「小塚、ちょっと」
振り返って小塚を呼び寄せ、二人で額を合わせて低い声で話し始める。そんな二人の横顔は真剣で、その表情はキラキラしていた。
「よし、じゃあ一応そのセンでいってみようぜ」
「オッケー」
しばらくして二人は話をまとめて立ち上がり、僕達のほうを振り返った。
「僕達の考えを発表する」
小塚がそう言うと、若武と黒木、僕も姿勢を正した。
「よし、聞こう」
「結論から言えよ。そのほうが早い」
三人でじっと小塚を見る。
「僕達の考えでは、」
そこまで言って小塚は僕達の気迫に押されたらしく、上杉を振り返った。
「上杉、言ってよ。僕、自分の得意なところの説明なら大丈夫だけど、全体はうまく言えないや」
それを受けて上杉が僕達の視線を受け止めて口を開いた。
「俺達の考えでは、この自転車を盗んだ犯人は新田町に住んでいる緑色の外車を持った人間で盗んだ日はものすごく焦っていたヤツだ。そしてその外車は、今壊れている」
...ということは、やっぱ車に引きずられたのか。
まぁじゃないとここまでひどくグッシャグシャにならんわな。
僕が一人で納得してると、上杉の言葉にぼうぜんとしていた若武が口を開いた。
「犯人の免許証かなにかが、自転車の中に入ってたのか」
上杉は眼鏡を押し上げながら首を振る。
「いや、見てのとおりだ。そんなものありゃしない」
「じゃ、どうして分かる？」
黒木の言葉に、上杉は自信たっぷりに笑って言った。
「この自転車が教えてくれた」
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みずいろ。(プロフ) - Haruさん» そう言って頂けて幸いです。Haruさんの「楽しみ」との言葉を糧にして頑張ります！コメントありがとうございます！ (2021年6月24日 20時) (
レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - みずいろ。さん» いえいえ、こちらこそすみません！楽しみにしてます！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろ。(プロフ) - Haruさん» Haruさん、すみません！！今執筆している最中でして…。明日に公開する予定です。本当に申し訳ありません！！！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - 次の作品を読むためのパスワードを教えていただきたいです！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
アヤナ(プロフ) - みずいろ。さん» そうですよね〜！！この小説読むの楽しみにしてます！頑張って下さい！！ (2020年5月3日 17時) (レス) id: a3a5163252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずいろ。 | 作成日時：2020年4月29日 23時
