10話 �� ページ34
「若武、これは約束だぜ」
そこで言葉を一度切り、一泊置いて勢いよく言い切る。
「守れよ！」
若武は息を飲み、仕方なさそうに手を離した。
「分かった。行けよ」
若武は上杉が教室から出ていくのを悔しそうに、そして少し悲しそうに見つめた。黙り込む若武の肩を、黒木が抱き寄せて言う。
「今日は、俺たちももう帰ろう。明日また新しい気分で考えようぜ」
「...明日になればいいアイディアが出るのか」
すねたように言った若武に向かって黒木は笑って、若武の髪に手を突っ込んでかき混ぜるように撫でた。
「何の手掛かりもない今は最低だ。少なくともこれよりは悪くならない」
若武は苦笑いして黒木に寄り掛かった。
「そうでもないぜ。チャリがないことが親にバレたらすぐに追及される。それで小遣いストップさ。それが最悪」
そう言って若武は眉を下げる。
自業自得とは言え、少し可哀そうに思った。
＊
その日の夜、お風呂や明日の準備を済ませて寝ようとすると家の電話が鳴った。
シマ兄は早めに床に就いたから僕は急いで階段を下りる。
時計は10時半を回ってるけど...誰が掛けてるんだろうか。
「もしもし？」
「立花？俺、黒木」
不思議に思いながら受話器を取ると黒木の声が聞こえた。
知ってる人でひとまずほっとしてると、少し早口で黒木が言った
「夜中に掛けてごめん。どうしても聞いてほしいことがあって」
黒木は一度言葉を切り、息を吸って言う。
「若武のマウンテンバイク、出て来たぜ」
「...え、ほんと？」
「ああ。さっき友達から電話があってさ。今俺、確認に来てるとこ」
そういえば、さっきから電話の向こうで車の走行音が響いてる。どこか道路の近くから掛けているんだろう。
でも、見つけたにしては声が暗い。
どうしたんだろうか。
「...どこにあった？」
「浜口町。野村グラウンドの裏手に自動車修理工場があって、その脇に潰した車がいっぱい積んであるんだけど...知ってる？」
「あぁ、あそこか。
...ねぇ、まさか若武の自転車も同じように潰れてたりとか、しないよね？」
黒木の声からして初めからいい話だとは思ってなかったけど、そこまでではないと思いたい。
けど願いとは裏腹に、黒木は僕の言葉を肯定した。
「そのまさかだ。グシャグシャになってて、もう自転車ってより鉄クズに近い」
僕は頭を抱えた。
若武にどう言えば...
「一体どうやったらこんなふうになるんだろうって、そう思うほどメチャクチャにされてる」
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みずいろ。(プロフ) - Haruさん» そう言って頂けて幸いです。Haruさんの「楽しみ」との言葉を糧にして頑張ります！コメントありがとうございます！ (2021年6月24日 20時) (
レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - みずいろ。さん» いえいえ、こちらこそすみません！楽しみにしてます！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろ。(プロフ) - Haruさん» Haruさん、すみません！！今執筆している最中でして…。明日に公開する予定です。本当に申し訳ありません！！！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - 次の作品を読むためのパスワードを教えていただきたいです！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
アヤナ(プロフ) - みずいろ。さん» そうですよね〜！！この小説読むの楽しみにしてます！頑張って下さい！！ (2020年5月3日 17時) (レス) id: a3a5163252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずいろ。 | 作成日時：2020年4月29日 23時
