10話 �� ページ33
結果から言うと、僕達の第二の線は駄目だった。
若武を恨んでるどころか尊敬したり感謝してたりで二人共犯人とは考えられない。
上杉と小塚に期待を込めて、僕達は特別クラスに向かう。
ドアを開けると真っ先に若武の声が飛んできた。
「どうだった？」
教室には上杉と小塚も揃っている。
「駄目」
黒木が参ったといったように首を横に振ると、若武は悔しそうに唸った。
「ちっきしょう」
小塚が溜息を吐く。
「僕達もてんで駄目だったんだ」
やっぱりぁ...
「早退者はなし。欠席した先輩は居たんだけど、足折って入院したばかりだって。先生にも聞いてみたんだけど秀明の先生が違反者の自転車を取り上げたって話は耳に入ってないって。もちろんそういう発表もない」
皆が一斉に溜息を吐いた。
「となると、いよいよ単なる乗り逃げってことになって捜査は暗礁に乗り上げるな」
若武が忌々しそうに呟く。
「乗り逃げじゃ通り魔と同じだ。犯人が特定できない。居るかどうかも分からない目撃者を見つけること以外に手の打ちようもないってことになる」
投げ出すようなその声に、上杉が慎重に重ねた。
「待てよ。乗り逃げってことは通りかかってフラッとその気になったって事だろ。だけどその程度でチェーンまで引きちぎるかな。通りすがりにフラッとその気になる程度のヤツは、ちょっと引っ張って駄目ならそれで諦めると思うが」
「うん。それに、人間の力じゃチェーンは切れないってお兄ちゃんが言ってた」
僕が上杉の言葉を肯定すると、皆は僕の方を見て揃って頷く。
「立花志麻の言うことなら信じる気になるよな」
「ん！」
でも、と小塚が言う。
「それじゃ犯人が分からなくなる。通りすがりの人間がチェーンを切る準備をしてるはずないしさ。となると、第一のセンも第二も第三も第四もぜ〜んぶ潰れるんだ」
「じゃあやっぱり、」
若武が興奮した声で叫んだ。
「第五のセンだ。あのチャリの中には宝石か設計図のマイクロフィルムが隠されてて、それを狙ったヤツが計画的なトリックによりチェーンを切って持ち去った」
黒木が天井を仰いで、片手で両目を覆う。
「小塚、早くこいつにロアルド・ダールを貸してやれよ」
その時、上杉の腕からピピッと機械的な音が響き始めた。上杉はハッとしたように腕時計を見てスイッチを押して音を止め立ち上がる。
「タイムミリットだ。俺は帰る。勉強しないと」
若武が上杉の腕を掴むが、上杉は突き放すように言った。
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みずいろ。(プロフ) - Haruさん» そう言って頂けて幸いです。Haruさんの「楽しみ」との言葉を糧にして頑張ります！コメントありがとうございます！ (2021年6月24日 20時) (
レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - みずいろ。さん» いえいえ、こちらこそすみません！楽しみにしてます！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろ。(プロフ) - Haruさん» Haruさん、すみません！！今執筆している最中でして…。明日に公開する予定です。本当に申し訳ありません！！！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - 次の作品を読むためのパスワードを教えていただきたいです！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
アヤナ(プロフ) - みずいろ。さん» そうですよね〜！！この小説読むの楽しみにしてます！頑張って下さい！！ (2020年5月3日 17時) (レス) id: a3a5163252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずいろ。 | 作成日時：2020年4月29日 23時
