9話 �� ページ30
次の日、全員が特別クラスに揃うと、若武が勢いよく立ち上がって僕達を見回した。
「昨日の夜、いいことを思いついた。新説だぜ。しかも二つも」
胸を張って得意そうに言う。
「なぜ俺のチャリが盗まれたか。昨日出たのは三つの理由だ。
第一、通りすがりの乗り逃げ
第二、恨みによる犯行
第三、先生や先輩の忠告
そして昨日の夜、俺が考えていた第四の理由は、例のコンビニ強盗が乗って逃げた。さらに第五の理由、それは、」
芝居がかった言い方に僕は小さく息を吐く。
僕の隣で、小塚がコクリと喉を鳴らした。
「あのチャリが普通の自転車じゃなくて、特別なものだったからだ」
...はい？
「つまり、自転車工場でチャリを作っている時に何かが起こってあのチャリの部品の中に重大なものが紛れ込んだんだ。例えば、工場に逃げ込んできた宝石泥棒が捕まりそうになって目の前にあったチャリのハンドルの中にそれを埋め込んだとか。あるいは新型自転車の設計図のマイクロフィルムを盗んだ産業スパイが追われて工場に逃げ込んで、チャリのサドルの中にそれを隠したとか」
どっかで聞いたことある話だな...
「で、そいつはあのチャリに自分だけに分かるマークを付けておいたんだ。それで工場からずっと狙いをつけてきて、ついに盗んだ」
瞬間、上杉が小塚の頭を小突いた。
「小塚！お前若武に"ルパン対ホームズ"貸しただろ！」
あ、それだ。
思い出せてすっきりする僕の隣で、小塚はバツが悪そうに言った。
「だって、黒木が貸してやれって言ったんだもん」
黒木は重い溜息を吐く。
「悪かった。今度はロアルド・ダールの心理サスペンスでも読ませてやってくれ」
そう言いながら黒木は立ち上がり、僕を見た。
「立花、嫌がらせの線を調査に行こう」
僕は頷いて皆を見回す。
「盗難防止用チェーンは素手じゃとても切れないってお兄ちゃんが言ってたし、僕もそう思う。逃走中の強盗ならチェーンの付いてないのを探すだろうし。それに強盗は車で逃げたんでしょ？だから第四の線はないと思う」
そう言うと、上杉が眼鏡の向こうの目を光らせて少し早口で言った。
「立花の兄貴って、もしかして立花志麻？サッカーとラグビーやってて、高等部のトップクラスに居る？」
僕が頷くと若武が茫然としてこちらを見た。
「嘘...」
皆が驚いてて僕は少し得意げだった。
シマ兄は皆の憧れだもんね。
「本当。苗字が一緒でしょ？立花なんて滅多にないし、僕の髪も瞳もお兄ちゃんと一緒の色だし」
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みずいろ。(プロフ) - Haruさん» そう言って頂けて幸いです。Haruさんの「楽しみ」との言葉を糧にして頑張ります！コメントありがとうございます！ (2021年6月24日 20時) (
レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - みずいろ。さん» いえいえ、こちらこそすみません！楽しみにしてます！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろ。(プロフ) - Haruさん» Haruさん、すみません！！今執筆している最中でして…。明日に公開する予定です。本当に申し訳ありません！！！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - 次の作品を読むためのパスワードを教えていただきたいです！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
アヤナ(プロフ) - みずいろ。さん» そうですよね〜！！この小説読むの楽しみにしてます！頑張って下さい！！ (2020年5月3日 17時) (レス) id: a3a5163252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずいろ。 | 作成日時：2020年4月29日 23時
