6話 �� ページ19
若武は悔しそうに髪をかき上げ、話を逸らす。
「上杉、普通の人間じゃないっていったら誰なんだよ。プロレスラーとかか？」
若武がそう言うと、小塚が目を輝かせて叫んだ。
「きっとタイガーマスクだっ！」
「やめろよ」
上杉が静かに言い放つ。
「これだけの手掛かりで犯人を見つけるのは無理だ。諦めて盗難届でも出すんだな。保険がかけてあるはずだから、それで新しいのが買える」
「駄目だ」
間髪入れずに上杉の言葉を否定して、若武は頬を歪めて目を眇めた。
「保険は親が管理してる。秀明には乗ってっちゃいけないって言われてるんだ。それを無視したんだから、今さら盗られたなんて言い出せねーよ。メンツってもんがある」
キッパリ言い切ってから、呻くように付け加える。
「それにこのことがバレたら、小遣いが無期限ストップだ。いくら新しいチャリが来ても、小遣いが無いんじゃ動きがとれん」
それを聞いて、黒木がからかうように笑った。
「チャリか小遣いか、それが問題だ」
とたん、小塚が思い出したように口を開く。
「若武、僕のＤＶＤ返せよ。先月貸しただろ、"アニメ・ハムレット"」
随分借りてるのね...
呆れかえる僕の前で、若武は大きく頷いた。
「わかった。お前から借りてるもんは全部返す。返すから、頼むから、話の途中で口をはさむなっ！」
大声で怒鳴って小塚を黙らせると、若武は僕達を見回して宣言した。
「とにかく俺はやるぞ！俺のマウンテンバイクを盗んだ犯人を必ず捕まえて、取り戻す!!」
若武の言葉に上杉が少し皮肉げに笑う。
「じゃ、勝手にやれよ。俺は下りる」
若武の顔がすっと真剣になった。眼鏡越しの上杉の目も、もう笑ってない。
「今週の三谷大塚のテストは、どうしても上位をキープしたいんだ。総合だから次の正会員資格に一番影響する。勉強時間が必要だ。お前もそうしろよ、メンツより成績だ。小遣いは諦めろ。じゃあな」
そう言って上杉は背を向け、僕達を置いて行こうとする。
上杉のことは上杉の自由やから、引き留めるなんてことはせぇへん。
やけど...
「上杉」
若武が口を開き、上杉の足を止めた。
「お前、今週のテストに自信無いんだな」
ものすごく嫌味な言い方。
これ面と向かって言われてると考えるとすっごい腹立つ。
まぁ、若武が諦めるなんてことする筈無い。
「へぇ、知らなかったよ。お前って"比"に弱いんだ」
はやしたてるように言われて、上杉も少し頭にきたらしく、口元に力を入れた。
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みずいろ。(プロフ) - Haruさん» そう言って頂けて幸いです。Haruさんの「楽しみ」との言葉を糧にして頑張ります！コメントありがとうございます！ (2021年6月24日 20時) (
レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - みずいろ。さん» いえいえ、こちらこそすみません！楽しみにしてます！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろ。(プロフ) - Haruさん» Haruさん、すみません！！今執筆している最中でして…。明日に公開する予定です。本当に申し訳ありません！！！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - 次の作品を読むためのパスワードを教えていただきたいです！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
アヤナ(プロフ) - みずいろ。さん» そうですよね〜！！この小説読むの楽しみにしてます！頑張って下さい！！ (2020年5月3日 17時) (レス) id: a3a5163252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずいろ。 | 作成日時：2020年4月29日 23時
