5話 �� ページ13
「疲れた〜...」
最終授業が終わって力が抜ける。理科の森山先生は黒板にいっぱい書くから疲れるんじゃぁ...
面倒臭いけど、これでも生徒だからちゃんとノートに写す。
腕が...死ぬ...
「はよ帰って寝よ...」
帰る準備をしてると教室のドアが勢いよく開き、良く通る声が響いた。
「立花、居るかッ！？」
声の方を見るとドアから若武が顔を出していた。
なんやろ。
鞄を持って若武の方に行くと腕を引っ張られる。あんまり人の視線集めたくないからフードやら帽子やら被っとんに、これじゃ意味ないやんけ...
溜息を吐いたが聞こえていないのか、若武はズンズン進む。
「...どうした？何があったの？僕を連れてく理由は？」
僕の質問に若武は前を向いたまま答える。
「お前、国語のエキスパートだろ」
意外にも若武が僕を認めてくれてたことに驚き、少し嬉しくなる。
自分の能力認められて嬉しくない訳ないからね。
「それじゃ理由にならないでしょ。もうちょっと詳しく」
「声明文を作ってほしいんだ」
言葉のキャッチボールェ...
その考えに至った経緯を聞いとんのやけど。
若武は僕の腕から手を放してこちらを向いた。
「そいつを作らなきゃならないんだ、今すぐ」
忌々しそうに言って、両手をズボンのポケットに突っ込む。
「早く来いよ」
若武が身をひるがえして教室前の階段を駆け上がってくのを追いかけながら、僕は問いかけた。
「なんの声明文？」
それに若武は足を止め、僕の腕を掴み耳元で囁いた。
「バイクが盗まれたんだ」
バイクが、盗まれた...
若武の言葉を脳内で繰り返す。若武が横滑りした時に乗ってた真っ黒な自転車。
確か新品だとか言ってたな。
それを盗まれたのか。
「いつ、何処で？」
若武は眉間に皺を寄せて悔しそうに言った。
「今、そこで」
...ん？
秀明は自転車使用禁止じゃなかったっけ。ということは規則破って乗って来たのか。
勇気あんな〜...
別に声明文書いたりして手伝うのは良いけれど。
「それと僕と、どういう関係があるわけ？」
僕がそう言うと若武は苛立たしげに声を張り上げた。
「だってお前は俺の仲間、」
そこまで言って言葉を呑み、若武はじっと僕を見つめる。
それから、打って変わって静かな態度で口を開いた。
「ごめん」
短いけど心に沁みるような声。
「帰っていいよ。悪かったな」
若武は少し辛そうに言って僕に背を向け階段を上って行く。
なんだか、僕は取り返しのつかないことをしてしまったような気がした。
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みずいろ。(プロフ) - Haruさん» そう言って頂けて幸いです。Haruさんの「楽しみ」との言葉を糧にして頑張ります！コメントありがとうございます！ (2021年6月24日 20時) (
レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - みずいろ。さん» いえいえ、こちらこそすみません！楽しみにしてます！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろ。(プロフ) - Haruさん» Haruさん、すみません！！今執筆している最中でして…。明日に公開する予定です。本当に申し訳ありません！！！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - 次の作品を読むためのパスワードを教えていただきたいです！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
アヤナ(プロフ) - みずいろ。さん» そうですよね〜！！この小説読むの楽しみにしてます！頑張って下さい！！ (2020年5月3日 17時) (レス) id: a3a5163252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずいろ。 | 作成日時：2020年4月29日 23時
