1話 �� ページ2
六年生になって間もない今日の放課後。
HRも終わって帰る準備をしていると、先生にプリントを届けに行っていた子の上ずった声が耳に入った。
「今日、KZがうちのグラウンド使うんだって！」
クラスの女子の顔が輝く。それを横目に、僕は小さく溜息を吐いた。ここ毎日、ずっと同じ話をしている。
女子が話すのは最近有名なサッカーチームのこと。KZと書いて"カッズ"と読む、らしい。
僕が通っている進学塾が、体も鍛えないと受験に勝ち抜けないとかいう理由で、生徒たちから希望者を募って作ったものだ。
KZにはKZ高等部、KZ中等部、KZ初等部の３つのチームがあるんだそう。あまり知らないけれど、エリートの集団らしくて、頭が良いだけじゃなくてサッカーも強いんだと。
それで瞬く間に有名になって、このあたりのアイドルみたいになった。僕でもチーム名はよく聞くんだから、人気のほどは言わずもがな。
片付けのBGM代わりに耳を傾ける。どうやら最近の雨で専用のグラウンドが使えないらしい。こっち方面はそうでもないから、整備が整ってて広さのある所、という条件でこの学校が選ばれたそうだ。
確かに秀明辺りは水はけ悪かったな、土壌の関係とかで。
納得しながら教室を出て靴を履き、髪をキャップの中に入れてから昇降口を出る。体育館前を通り、グラウンド隅の並木の間を歩いて、裏門をくぐって通りに出た。
瞬間、耳に響くブレーキの音。
「あぶねェッ！」
...何してんねやろ。
スムーズに端に退いた自分とは反対に、慌ててブレーキを掛ける男の子。フェンス越しだし、向こうも気付いてると思ってたから少し驚いた。
目を瞬かせている間に、男の子は漫画みたいに横転。
...これ、すっごい恥ずかしいやつじゃね？
シマ兄なら大爆笑するだろうな、なんて考えていると、こけた子の後ろから来た男の子達はブレーキをかけて自転車を止めた。面白いものを見たと言わんばかりの表情に、こけた子は顔を顰める。
「バカ野郎、何やってんだよ」
「マウンテンバイクでコケるなよな」
揶揄ったり吹き出して笑うのに対してイライラし始めた子は、あんまり気が長くないらしい。不機嫌なのを隠そうとせず、眉間にものすごい皺を寄せている。
視線を移すと、KZのマークが入った、赤いウィンドブレーカーを羽織っているのに気が付いた。ということは、この子達がさっき話題に出ていたKZだろう。
...スポーツやってる男子って背ぇ高いのしか居らんのか？
理不尽な現実にそっと目を逸らした。
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みずいろ。(プロフ) - Haruさん» そう言って頂けて幸いです。Haruさんの「楽しみ」との言葉を糧にして頑張ります！コメントありがとうございます！ (2021年6月24日 20時) (
レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - みずいろ。さん» いえいえ、こちらこそすみません！楽しみにしてます！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
みずいろ。(プロフ) - Haruさん» Haruさん、すみません！！今執筆している最中でして…。明日に公開する予定です。本当に申し訳ありません！！！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: a0a86fce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - 次の作品を読むためのパスワードを教えていただきたいです！ (2021年6月24日 20時) (レス) id: 40c5cf4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
アヤナ(プロフ) - みずいろ。さん» そうですよね〜！！この小説読むの楽しみにしてます！頑張って下さい！！ (2020年5月3日 17時) (レス) id: a3a5163252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずいろ。 | 作成日時：2020年4月29日 23時
