2話 �� ページ23
基本、土曜のスケジュールは、学校から帰ってお昼ご飯、14時から19時まで秀明、それから20分の休憩時間に晩ご飯を食べて、19時から22時まで特別クラスの授業、といったふうに詰められている。前は、夕飯は家に帰ってシマ兄と一緒に食べていたのだけれど、二学期に入って受験も迫って来た為、時間の節約でそう決められたのだ。
その日の授業を終えて、のんびりと特別クラスに向かう。ドアを開けると、中で話していたらしい上杉と黒木が口を閉じ、こちらを振り返った。軽く手を挙げて二人に手を振る。
「話続けなよ。僕は気にせんから」
それよりも、と二人の格好を見る。練習試合でもあったのか、KZのウィンドブレーカーを羽織っている。しかし、その下はポロシャツに膝辺りまでのパンツ、白いハイソックスと、何とも心許ない。
「最近肌寒いけど、二人はその格好で大丈夫なん？」
風邪ひきそう、と言うと二人は目を点にして顔を見合わせ、それからふっと表情を和らげた。黒木がウィンドブレーカーを指差しながら口を開く。
「ああ。これ、結構あったかいんだ」
「ん、なら良かった。けど、身体大事にしてな」
何故こんなことを言うのかというと、この間トントンが風邪をひいたのだ。原因は、受験勉強に加え、溜まった書類の処理をして睡眠を疎かにしたことによる免疫低下。三十九度近くの熱が出て、すごく辛そうだった。
身体を大事にするように、と二人を心配する旨を伝えると、慣れていないのか、上杉はフイ、と視線を逸らした。耳が少し赤くなっている。
上杉と黒木が話を再開する傍ら、僕は席に着いて鞄からテキストを引っ張り出す。暫くして、上杉に呼ばれた。
「おい、立花」
何？と首を傾げて続きを促す。
「ここで仕入れた情報は、どこにも流すなよ」
僕をじっと見る上杉の目を見詰め返して、わかった、と頷いた。視線を外さない上杉に、第一、と口を開く。
「僕、お前ら以外に、友達どころかマトモに話す奴おらんねんで。シマ兄も僕らの活動に関しては深く詮索せんし、誰に話すっちゅーねん」
そう言うと、上杉は意表を突かれたように呆けて、それから言った。
「学校とかで、同じクラスの奴とつるんだりしないのか」
心外な、と勢い良く首を横に振る。
「あの訳の分からん群れ、じゃなかった、集団のこと言っとるんやったら鳥肌モンやで。好きならまだしも、そうでもない奴らと一緒に過ごして、下らんことに一々反応して盛り上がるテンションにはついて行けんわ。ホント無理」
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作者名：みずいろ。 | 作成日時：2021年6月24日 18時
