少年少女の水色事件簿二冊目 (ページ12)

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14話　⑦ ページ12

「で、仕掛けてから家に戻って盗聴内容をレコーダーに吹き込んだんだけど。それがコレ」

そう言って今度はレコーダーを取り出して、机の上に置いた。

「ま、聞いてくれ。驚くなよ」

大人びた笑みを浮かべて、スイッチを入れる。数秒間雑音が流れて、それから男二人の声が聞こえだした。少々聞き取り難いが、内容はハッキリ解る。

"よお、どうしてもやるのかよ"
"もち。今度は駅の向こう側のセブンイレブンにしよう"
"二件続けてコンビニだと、ヤバいんじゃねーの？"
"大丈夫、大丈夫。あの手の店は、バイトの店員が多いんだ。バイトの奴らは、店の金を守ることより自分が怪我しないことの方が大事だから、ちょっと脅せば大人しく金を渡すさ"

僕は驚いて息を吞んだ。これって...
小塚は目を瞠ってレコーダーを見詰め、上杉は鋭く目を光らせる。

"気を付けなくちゃなんないのは逃げ道だ。しっかり調査しといてくれよ。前のノリは困るぜ。あの自転車には参ったからな"
"ああ、わかってる。けど、下見した時にはあんなの無かったんだぜ。あんな狭い道にチャリ止める野郎の気が知れねーよ。何考えてやがんだろ"

若武は頭にきたようで、レコーダーを睨んでいる。

"いくら目立たない道でも、幅の狭いところは駄目だ"
"しょうがねーじゃんか。目撃者の目をくらます為に、コンビニから俺の車で一旦逃げて、途中でお前のミューラーに乗り換えただろ。それまで駐車しとくのにはあの道の脇しかなかったんだから。下手なとこに止めといて駐車違反で持ってかれちまったりしたら、元も子もないじゃん"
"とにかく、もっと安全な道を考えるんだ。今度やるのは一日の金曜日。それまでに車が直ってくるからな"

上杉が、教室の壁に貼ってあるテストの日程表を見上げる。一日が金曜になっているのは、五月だけ。

"時間はたっぷりある。しっかり調べろ。この程度の遊びで警察に上げられたら堪んねーよ"
"わかった。じゃあな"

会話はそこで途切れ、雑音が流れる。黒木がスイッチを切った。
やっぱりこれって、襲撃の計画だよね。息を吞んで顔を見合わせていると、若武が大きく声を張り上げた。

「やっぱり犯人は強盗だったんじゃないか！俺の言った通りだ！」

どことなく嬉しそうな若武に、上杉が呆れたように溜息を吐く。

「お前が言った時点では、ただの空想にすぎなかっただろ。今は違う。はっきりとした事実になったんだ」

言いながら、黒木を見る。

「どうする？」

すると、小塚が脇から口を挟んだ。