そっか、私。邪魔なんだ【文スト】

時既に遅し ページ5

.

私は十六にしてやっと恋心に気付いて。

そして気付いた瞬間が彼の好きな人を聞いていた真っ最中で。

余りにも優しく笑うから。





｢聞きたく、なかった、なぁ……ッ｣





片想いなんて叶う訳ないの。

脇役。下手したら悪役かもしれない私が二人を邪魔する権利なんてないの。

そんな意味を込めながら涙を流す。





｢好きな人が、貴方じゃなければ良かったのに｣





恋心に八つ当たりするところも私は汚い。

でも何千回何万回生まれ変わっても。


きっと貴方に恋をするだろう。





｢中原さん＿＿貴方に恋をして、楽しかった。
どうせ叶う訳ないから、私は貴方の幸せを望む｣






諦めたようにふっ、と笑ってから首元のチョーカーに触れる。

中原さんを真似して買った代物だ。


貴方を束縛するような物は捨てちゃえば善い。





チョーカーを外し、塵箱に放り投げた。





＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿




｢おはようございます！
今日も頑張りましょうね｣



｢＿＿＿＿＿おはようございます、Aさん
今日は晴晴としたお顔をしていらっしゃいますね

何か善い事でも？｣





翌日。私がにこりと笑うと、後輩の芥川さんが私に首を傾げ乍ら尋ねてきた。

＿＿何もないよ


笑顔を絶やさずに居ると、芥川さんも｢そうですか｣と一言呟いて後ろを向いた。





｢＿＿＿＿＿＿＿、｣





彼が振り向き様呟いた言葉を、私は聞かなかったことにした。

認めたら、泣いて仕舞うから。
























"彼程大切にしていたチョーカーを付けておられないのは気の所為でしょうか"

最期に貴方は訪れない→←告白と恋心

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す