15 回想 ページ16
「あのー…東宮様?」
廉の部屋の戸の前で廉を呼んでみる。
……………
いないのかな?
「東宮様?」
……………
やっぱりいないのかな。そう思って他の場所を探しに行こうとした時。
廉「………なんやねん」
部屋から声がした。居たんだ。
「失礼します。」
部屋の戸を開けると相変わらず不機嫌そうな廉。
廉「なんや?ええかげんにせえよ。」
「……東宮様、お散歩に行きませんか?」
思い切って誘ってみた。
廉「はぁ?」
「庭園の池の鯉、見に行きませんか?」
廉「嫌や、大吾と大西がおるやろ。二人と見てこい。」
廉は追い払う様な仕草をした。
でも、私は引き下がらない。
「……嫌です。」
廉「はぁ?お前なに言ってるん?俺は行きたくないって…」
「私が東宮様と…廉と行きたいんです。」
廉「っ…!………」
「先、行ってますね?」
廉を置いて部屋を出ようとした時
廉「待て!」
廉に呼び止められた。
「はい?」
廉「……一緒に行く。」
廉は俯きがちにそう言った。
「はい!行きましょう」
少しだけ、距離が縮まった。そんな気がした
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作者名:L | 作成日時:2015年7月25日 23時