瑠璃鶲 ーDaigo.Nー ページ32
Aちゃんと買出しに出たその帰り、河原の道で見つけた。
遠くからでもわかった。
「ウィ…オラ…」
紫耀だった。
大「っ……し…ウィオラっ…」
思わず紫耀の名前を明かしそうになりながら傘を捨てて走り出す。
大「ウィオラ!おい!ウィオラ!」
ぐったりした紫耀を抱き起こして呼ぶけど返事はない。
「ウィオラ……ウィオラっ…」
俺の傍らでAちゃんも紫耀を呼ぶ。
紫耀の体は雨で冷たくなっていた。Aちゃんはその紫耀の手を握りしめる。
外傷は無さそう…なんで…
大「傷はないから多分大丈夫や。ウィオラを背負っていくからAちゃんは荷物持ってくれるか?」
「うん…わかった。」
Aちゃんは不安そうな目をしながらも傘と荷物を持ってきてくれた。
大「よいしょっと…行こか?」
「はい。」
Aちゃんは俺に傘をさしてくれた。…いや、紫耀にかな?
Aちゃんは紫耀に恋してる。
きっとそう。
だって…和奏もそうやったから。
俺の背中の紫耀を見る今のAちゃんは、あの頃の和奏と同じ目をしている。
心から紫耀を心配する、和奏の目や。
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作者名:L | 作成日時:2017年5月1日 20時